聖女の後悔深まる ※ざまぁ回

地震が起こった王国の復旧工事には多くの人員を必要とした。


「ふう……疲れたぜ」


「一休み、一休み」


 労働者達は休憩に入る。


「全く、不便なものね、人間って」


 アリシアは吐き捨てる。その働きぶりを窓辺から見ていたのだ。


「仕方がありませぬ。人間は機械ではありませんから。ましてはアンデッドでもありません。不眠不休で労働ができるわけではないのです」


 王国六大臣の一人。経済大臣はそう言う。


「くっ……」


 アリシアは悔しそうに顔を歪める。


「ジル殿のアンデッドがいればこうはならないのですが」


「な、なんなのよ! 私がいけないってわけ!」


「何もアリシア様を批難しているのではありません! ジル様は国王の暗殺で国外逃亡されたのです! アリシア様に非はないではありませんか!」


「……そ、そうよね。その通りね」


 事実を知らない経済大臣はそのように申していた。


 そんな時の事だった。


「聖女アリシア様!」


 使用人が部屋に入ってくる。


「何用ですか!? 騒々しい」


「他国から応援で着くはずだった人員が到着が遅れるそうです」


「な、なんですって!? どうして!?」


「なんでも自国で優先度の高い仕事が出来たそうでして、そちらを優先して終わらせてからになるそうです」


「くっ」


「仕方がありませんな。人間ですもの。都合というものがあります」


「くっ、ううっ」


(なんなのよ! なんなのよ! なんなのよ! あの薄気味悪いネクロマンサーを追放して全てが上手くいってたと思って清々していたのに! これじゃ全く逆じゃないの! 思惑が全部逆の方に! きいいいっ!)


 アリシアは表情を歪め、慌てて取り繕った。

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