第3話 村が!!小人の襲撃【成長する世界樹で無双】

何とか 村までたどり着きたい。

しかも 急いでたどり着きたい。 急ぐ理由はアレだ。。。アレで。。アレアレだから。。彼女のために。。いかん、いかん。

冷静にならないと 失敗する。


後先考えられなかった。やっちゃったな~

俺の命に代えても送り届けなくちゃいけない理由が出来たぞ。


これはお金をもらうよりも責任重大だぞ!


でも あれ? なんで、お金をもらうよりも責任重大なんだ?

まあ いいさ。


世界樹の種については追々調べるとして、まずは持ち物とかチェックしないとな。

彼女は よく見ると民族衣装っぽい服装だ。

おそらく 今回、以外にも小人か何かに追われて逃げてきたのだろう。

服装が乱れている。

つかまれたのか所々 破れている場所もあった。


芯の強い子のようだけど きゃしゃな体なのによく無事だったな。

まずは 自己紹介かな


「俺は オグマ。君は?」


俺は 日本の名前はあったけどオグマと名乗った。

そして 自分の胸に指をさしてオグマと名乗り 彼女を指さして名前は?と質問した。


「セレネ。меня зовутセレネ・・」

「セレネ?? よろしくセレネ」


なんとか 通じた。

それから お互いの持ち物をチェックしたけど 

セレネは道具袋にナイフより少し長い短剣を持っていた。

他にも 包みを持っているようだけど特に使えそうなものはない。


俺のほうは異世界に飛ばされたばかりなので手ぶらに近い。

スマホも財布もこちらの世界へは持ち込むことが出来なかったようだ。

洋服のポケットには 世界樹の実と、さっき食べた種があるだけだった。

特に収穫はなかったな。 

さて 進むことにしよう


「さあ 行こう」


さあ 行こうと俺はセレネに手をつないで歩こうと、手を伸ばした。

「・・・(*ノωノ)」

だけど セレネは手を伸ばしては来なかった。

どうした?

初々しく目をしばしばさた。すでに整った髪を整えた。

今になって 恥ずかしくなったのだろうか?

顔も真っ赤にしてこの子は赤面症もあるようでわかりやすかった。


彼女がゆっくりと 立ち上がるのをまって、村のほうへ歩き出した。

道をまっすぐ進んでいると 時々、右に左に俺の服のすそを引っ張ってくる。

目くばせで「そっちに進んじゃダメ」と言っていることが分かった。

セレネは こっちの世界の人だから色々と知っているんだろうな。

ゲームのキャラみたいな進み方だ。

俺にもできるようになるのだろうか?

それにしても 後ろを付いてくるセレネの顔は疲労感が見て取れる。


実を食べても回復しないのか?

もしかしたら あの実は俺にしか効果がないのかもしれないし、

セレネの疲労感が凄すぎて回復しきらないのかもしれない。

もう一つ 世界樹の実を差し出してみたけど セレネは「要らない」と首を振った。



しばらくして、茂みなんかをうまく利用しながら進んでいくと、風の音のような声が聞こえてきた。

セレネは不快な顔をした。

俺も、わかっている。

これは 風の音じゃない。

一度聞いていなかったら気づかなかっただろう。

洞窟か何かが近くにあると思って逆に近づいてしまったかもしれれない。

そういう 惑わせるような音というか声だ。

間違いない、あいつらがいる。


茂みの切れ間から、数匹の小人が見えてきた。

俺たちは身をかがめて軍人のように進んだ。

小人は何をするわけでもなく 

こん棒をもってフラフラと少し揺れながら漂っているようだった。

さっき戦ったときは知能はあると思ったけど、今はただの酔っ払いのようだ。

そして 風任せにフラフラとどこかへ進んでいる。


ここは気づかれないように こっそり進むことにしよう。

戦うこともできるけど セレネの体力を考えるとできるだけ避けたい。


ひっそり


ひっそり・・・。


俺とセレネの呼吸のリズムは同じ、打ち合わせしたわけでもないのに

中腰になって 進むときに出す足の順番も同じになった。

そして あの 気持ち悪い声が聞こえないところまでたどり着いた。


「ふぅーー」


いつの間に息を止めていたのだろう。ずっと 息を止めていたようだ。

だから 吸い込んだ空気が美味しかった。

セレネを見ると 半笑いの顔で俺のほうを見て何かを言いたそうにしている。

「緊張したぁ~怖かったね」とか 感想を言い合いたいところだけど言葉は通じない。

だから 顔が半笑いなんだろうか。ホッとしたのか顔も赤く染まっている。


次に彼女は目を少し見開いて ドヤ!って顔をしてきた。

確かに 小人を出し抜いたな。

俺も 同じ顔で ドヤ!とセレネに返した。



「Снежный жук!!」


日も沈んで太陽が ライトのように地面を照らす時間になった。

そのとき セレネが俺の袖を引っ張って空を指さしてきた。

空のほうなんて 見ないで歩いていたけど

セレネが指さしている夕日側の空を見てみると、キラキラと花びらのような何かが 

太陽の光に染められてフワフワと漂っていた。

「奇麗だ」

俺たちは座った。

手くらい、握れそうだな。

でも 結局 繋げなかった。


そして 夕日が沈む短い瞬間、その光景を二人で眺めた。

ショール越しに見えていた彼女の顔も暗くなって花火の火が消えたようだ。

「行こう」


また 村のほうへ歩き始めた。



日が沈んで薄暗くなってきたけど地面は割としっかりと見える。

ザクザクと石の多い地面を進んでいった。

風車にも近づいてきたし、ふもとの村ももうすぐ見えてくるだろう。

やっと 到着できる。

今更だけど 村に行けばお風呂もあるだろう。

食事も食べられるだろう。

小人に怯えずに 安心して眠ることができるだろう。よかった。


でも 気になるのがセレネだ。

まず、小人がいるのはわかっているはずだから、そもそも一人で村を出るはずはない。

仲間はどうなったんだろう?

それは 聞くまでもないか・・全滅したのだろう。

だまって 付いてきてくれているが、この子は今何を考えているのかわからない。



薄暗い中で 村の明かりが見えてきた。

でも 叫び声と風の音のようなうめき声が聞こえる。

まさか・・


俺たちは小走りに 村に近づくと石の壁で囲まれた村が見えた。

ただ 壁の周りには ずらりと沢山の小人が壁にへばりついていた。


「村が 襲われている」

セレネの顔も 暗いのに顔面蒼白なのがわかるかいの表情だった。

小人の数もかなりいる。 

村の壁は石を積み上げて守られているようだけど・・

小人のこん棒攻撃は激しい。

いつまでしのげるのだろうか?

人数が多かったら どこからか壊されてしまいそうな感じだった。


でも 救いなのは火の弓を持った村人が壁の上から小人に矢を放って撃退していることだろう。

火の矢で攻撃を何度か受けると小人は勢いよく燃え上がった。


#火が弱点なのか?__・__#


そしてよろけて 抱き着かれた隣の小人にも燃え移ったようだった。

村の若者次第だ! 頑張ってくれ。


俺は セレネに合図をした。

小人のいない壁を探して よじ登ってしまおうと考えた。

村に夢中になっている小人をいいことに ぐるりと村の壁を回っていった。

セレネも疲労感なんて感じさせない顔で俺の後を付いてくる。

そしてちょうどいい壁を見つけたときに。


偶然、村から煙と火が上がり始めたのが見えた。

どうしたんだ?

火事か? やり過ぎたのか?


壁をよじ登って 村の中を見る。

しかし 登った先に見た、村の光景は・・・地獄絵図だった。

聞こえる断末魔

「きゃあーーー ぎゃ! 」


壁が・・


「壁が破れたのか!!!」

破られた壁からは小人がなだれ込んでいた。

そして小人の侵入を 防ぐために村人はおかしなことをしている。

村のいたるところに火をつけて村を燃やし始めた。

火が弱点だからって 家まで燃やしちゃうなんてあんまりだ。


なんで そんなことをするんだ!


セレネが壁を登りたがっている。

俺は腕を 下におろすとセレネはロープをつかむように俺の腕に抱き着いてきた。

そのまま 力で引き上げる。

引き上げられたセレネは 村の光景を見ると絶叫して、そのまま壁から飛び降りた。

飛び降りたというより 転げ落ちたに近い、

ゆっくりと体を起こすと、痛そうに体を引きずりながら、火の放たれたばかりの

今にも燃え上がりそうな、家に向かって走り出した。


「あの家に誰かいるのか?」 


壊れた壁には 壁に沿うように長屋の家があった。

家は問答無用で燃やしてもいいという、村のおきてでもあったのだろうか?

村人たちは色々なものに火をつけて炎のバリケードを作っていた。


だけど、走って家に向かうセレネはすぐに小人たちに見つかってしまった。

炎の向こうの村人を追いかけようとしていた小人がセレネに 向きを変えて走ってくる。


でも 大丈夫だ。

俺は透明人間のはずだから、俺は駆け寄って小人にタックルをした。

しかし


「ボカ! ボカ! ゴボ!!」


タックルをした瞬間 小人のターゲットがセレネから俺に切り替わって、

数体の小人からこん棒で殴られて弾き飛ばされてしまった。


おかしい。。 最初に セレネを助けたときは俺は透明人間のように扱われていたのに、

今は 確りとターゲットされている。

木の実には 制限時間があるのか?

それにしても、アバラが折れた・・息が苦しい・・  

何発殴るんだよ、こいつら。


世界樹の実を・・実を・・食べなきゃ・。

殴り続けられる中で必死の思いで世界樹の実に手を伸ばした。

そして世界樹の実をほおばった。

「もぐもぐ・・ ん?」


体の痛みが消えてく。

苦痛が消えて心が少しだけ癒された。


意識がはっきりした。

すると 小人たちはこん棒で俺を殴るのをやめていた。

そして ゆらゆらとしている。

俺は 小人から認識されない状態だ!


ところで セレネは??

セレネだけは 守らなきゃいけない!

だけど 俺を認識できない小人を相手にするのは簡単だ。

タックルをすると小人は 吹き飛んで家の炎に焼かれてた。

次の小人も両手で脇のあたりをつかんで 炎の中に投げ込んでやった。


「小人をは俺に任せろ、行け!セレネ!!」


セレネが家にたどり着いてドアを開けると すごい煙が家の中から出てきた。

煙が炎に変わる瞬間は 爆発的な火力になるので、一撃でセレネの命を奪ってしまうだろう。

でも セレネは そのまま家の中に入って行った。

そして 誰かを抱きかかえてすぐに出てきた。


あれは・・・ セレネよりも一回り小さい女性だ。 

もしかして 家族なのか?

妹なのだろうか? 

セレネは 妹のために俺に・・・。


外に出てきたセレネたちに世界樹の実を渡して、

俺は倒れこんだ二人の前に世界樹の種を植えた。

村人たちは炎の盾に隠れているのでセレネ達は格好のターゲットになっていた。


早く 芽が出てくれ!


二人に襲い掛かってくる小人たちを蹴り飛ばす。


「実を! 実を食べるんだ!!」

俺は もう一つ世界樹の実を取り出して 食べて見せた。

セレネは俺の行動を理解して自分も実を食べて おそらく妹にも実を食べさせた。

でも セレネ達が小人のターゲットから外れることはなかった。


セレネは妹に覆いかぶさり、俺はセレネに覆いかぶさった。

やっぱりそうだ この世界樹の実の効果は俺しか発揮しない。


小人のこん棒攻撃は 容赦がない。

さっき 折られた場所を再びこん棒で折られた。

それでも 殴るのを止めてくれない。もう 折れているのに・・

ああそうか 殺す気だから止めてくれないんだ。そりゃそうだ。。


はぁ! 何だ俺! やることが一つ残ってるじゃないか。 

セレネを守る!!


「うりゃあぁぁっぁぁ!!!!」


俺は セレネに持っていた食べかけの実をかじり、小人を倒し、成長した世界樹の実を食べて戦った。

世界樹の木は成長して無敵の範囲(陣地)は徐々に広くなっていき この村をお追った。

世界樹は その丈が伸びるごとに俺に力を与えてくれる

どんどん増していく力は、今なら デコピンで小人を吹き飛ばせるかもしれないくらいだった。


そして


今なら あの岩を持ち上げて壁を塞ぐこともできるかしれない。

・・・。

・・。

・。

そして俺は 近くの岩を持ち上げて その岩で穴の開いた壁を塞いだ。

完全にこちらが優勢になった。

すると村人も 火の矢や大剣を振り回して小人を押し返していって小人をいっそうした。


勝った! 守り抜いたよ。セレネ。


セレネを見ると、俺に向かって親指を突き立てるポーズをしている。

ああ、この世界にも このポーズあるんだ。

懐かしさと、小人を撃退した達成感を感じながら俺もセレネにポーズを返した。

セレネと心が通じ合った。


避難していた村人たちも 自分たちで付けた火を消して俺のほうへ

近寄ってきた。

すごく 喜んでいるようだ。

みんな何か言っている。きっと 感謝の言葉と歓声だろう。

この日、俺は村の英雄になった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る