第2話 預けられた命【でも世界樹の実で俺は透明人間?】
あの女性を、何とか助けられないだろうか?
逃げていく女性を見ていると 俺の足は自然に小人の元に駆けだしていた。
さっきよりも 体が軽い。
体力が全回復するとこんなに体が軽い物なのか。
生まれて初めての感覚だった。
でも 小人は足が速い、普通に追いかけても追いつけないだろう。
ただ、逃げる方向を予測して先回りするので 徐々に小人たちへ近づいていくことが出来た。
さて どうする?
どうやって妨害するか。。でも
女性が息を切らせて 座り込んでしまったので 小人に殴られる前に
急きょ、石を拾い上げて投げつけてやった。
「うぎゃ!うぎゃ! うぎゃ!」
石は簡単に命中した。
小人は キョロキョロとしている。
何をしているんだ?
何かを探しているように キョロキョロとしていた。
そして 風が狭い洞窟を駆け抜けるような不気味な、そんな声で話をしている。
気持ち悪い声だ。声というより音だろうか?でも会話をしているようだった。
小人は再び 女性のほうを見てこん棒を振りかざそうとしていた。
石を投げつけたのに 小人は俺のほうを無視した。
まずは女性の息の根を止めるつもりなのだろうか?
それにしては 小人の行動が矛盾しているようでおかしい。
まるで 俺がいないかのような態度だ。
女性はまだ起き上がれないのか?
助けるしかない。
ただ さっきの戦いで小人の倒し方はわかっていた。
世界樹の芽のそばまで走れば 簡単に小人に勝てる。
でも ぶっちゃけ 怖くて手と足の先の感覚がない。
血の気が引いて血が流れていないのかもしれない。
血が流れていないから足が重い。
うっ 動かない。
でも 俺は感覚のない脚で小人に蹴りを入れた。
「うりゃ!! バキ うっ かたい。。」
小人の体は木の棒のようだ。
さっきとは、まるで違う。
それにしても、固い。
バットは蹴ったことはないけど、、こっちの足が折れそうだ。
ただ 小人なので中途半端な威力でも、一体は蹴り飛ばすことが出来た。
そして 残り二体も蹴り飛ばす。
今度は 足の裏で押すように、蹴り飛ばした。
蹴り飛ばされた 小人はキョロキョロと頭を振ってまた 気持ち悪い言葉で話し始めた。
なんだ? やっぱり 俺が見えていないのか?
それとも無類の女好きでまずは女を仕留めたいのか?
また 女性に襲い掛かろうと立ち上がって女性のほうを向く、
俺には背中を向けてまた 無視をしてきた。
だから 今度は足払いを食らわせてから
俺は 女性の手を無理やり握って立ち上がらせた、
そのまま手をつないで走った。
小人が追いかけてきたが 蹴りを食らわせて吹き飛ばしながら
また 女性の手を握って走る。これの繰り返しだった。
小人にとって俺は 透明人間だ。
だから 蹴りは命中率100%でクリティカルヒットする。
ついたぞ・・
「はぁはぁ・・」
そしてついに 世界樹の芽のそばに到着した。
世界樹のそばで小人に攻撃をすると小人たちは軽く吹き飛んでいった。
さっきは気づかなかったが。
小人は絶命すると光る花粉になって世界樹に吸い込まれるようだ。
そうすると 世界樹は少し成長して、また3つの実をつけた。
ひとまずは、片付いたな。
俺は 3つの実をもぎ取ると一つは自分に、もう一つは女性に渡した。
女性は 実を細い手で受け取るとニッコリしてから実を食べた。
俺も実を食べた。
体の疲れが癒えていく。。 そして 心の奥が少し癒された気がした。
落ち着いたところで女性に話しかけてみた。
「こんにちは 危なかったですね。あの小人は何者なんですか?」
「Спасибо,Это гоблин-зомби.」
「え?・・・言葉が通じない」
言葉が通じないのか。これは 予想外だな。
状況を聞いて 一緒に村まで 安全なルートで移動できると思ったのに、
これじゃ、また ボディーガードをしながら進むことになる。
だから 不用意に移動できないし どうしたものか・・。
俺は 考えた。。
・・・。
・・。
・。
すると 女性が両手で俺の両手を握って真剣な顔で何かを言ってきた。
何度も何かを言っているようだ。
初めの言葉。
これはお礼の言葉ということはわかる。
ありがとうのほかに、「強いですね」「すごいですね」「あなたは私の命の恩人です」みたいな
事を言っているのだろう。
でも その後の言葉はわからない。
だけど 必死に何度もお願いしてきている。
何だかはわからないけど、この状況でお願いすることと言えば、
一緒に村まで来てほしいということだろう。
多少 違っていたとしても村に行くことに違いはないだろう。
俺は うなずいた。
そして日本語でゆっくりと世界樹の種をうまく植えることで
進むことが出来るとジェスチャーを交えて説明した。
この世界樹の側は安全だということも伝えた。
だけど 女性は金髪の髪をゆらして首をかしげるしぐさをした。
ダメだ。通じていないのか。
また 俺の手を握って何かを必死にお願いしてきた。
言葉が通じないから女性が可愛そうなくらいだ。
俺は彼女の破れた袖の服を引っ張って
腕を持ち上げると、村の方向を指さしてうなずいた。
すると 女性は涙目になって何度もうなずいた。
今度は通じたようだ。
日も傾いてきたけど 行くしかないだろう。
俺は 女性の手をつかんで街の方向へ歩き出そうと引っ張った。
しかし 女性は俺の手を逆に グイっと引き戻してきた。
「何を??」
女性は 俺の手を引っ張るとそのまま俺を寝かせて、その上に乗っかってきた。
なんだ この状況は?
そして 女性は卑屈な顔になって何かを喋っている。
意味が分からないぞ。 まるで 長年の宿敵にでもあったかのような顔だ。
ただ それは 敵意がなくて、
女性がお礼をしたいと言うことだと、言葉が通じなくてもすぐにわかることになった。
俺は 道具袋を指さして お金を要求したけど彼女は、そんな手を払い除けた。
俺の心を見透かしたかのような 力強い瞳で俺を見た彼女は
首を振って「それじゃダメなのよ」と言わんばかりだ。
今度は、涙を流し始めた。。。そして、お礼をしてくれた。
多分 イヤだったんだと思う。
ムフフな感じではなかった。
最後に村の方向を指さして 同じ言葉で何かを俺に頼んでいた。
「俺なんかに 命、預けちゃったのかよ・・」
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