猫と月

 サッシをからからと開けると、まだ少し生温い空気が入って来た。

 涼しい空気と生温い風の混ざりは、どこかセンチメンタルな秋の訪れを予感させた。

 君が外に出ないように、急いで網戸をぴっちりと閉める。

 ロフトから急いで降りて来た君は、楽しげに網戸をがりがりとやった。初夏に新しくしたばかりだったけど、金色の光を浴びる君はとても美しくて、ふわふわの背中に触れてみた。

 君は遠い国の人みたいに、夜空をじっと見上げている。

 僕も、夜空を見上げる。

 灰色の格子の向こうに、金の丸い月がずっと浮かんでいるのだった。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る