第35話 23年前の夢を見る真一…『真一と優香・夢の中で「腹を割って話す」』⑦
(回想・夢の中)
優香「しんちゃん…、トラウマがあっても、トラウマのことは少し置いといて、端的に私のこと、ホントはどう思ってるの?」
真一「えっ…、ホンマは…、ホンマは…」
優香「うん…、どれだけ時間がかかってもいいよ。私はずっとしんちゃんの返事、待ってるから…」
真一「優香ちゃん…」
優香「私が困ったときは、いつもすぐにしんちゃんが助けてくれた。しんちゃんが困ったときは、私が助けなアカンやんか❗」
真一「優香ちゃん…」
優香「私を誰やと思ってるの? 幼なじみの優香ちゃんやで(笑)」
真一「そうやな…」
優香「うん…」
しばらくまた沈黙が走る。
深呼吸をして、真一が静かに話し始めた。
真一「…オレは…、優香ちゃんのこと…、…もう…忘れられへん…。…小学校の時、幼稚園卒園した後みたいに…、離ればなれになるのはもう嫌なんや❗」
真一が思わず優香に抱きつく。
優香はびっくりしながらも、真一を温かく抱きしめ、真一の頭を撫でていた。
優香「しんちゃん、ありがとね…。私も真一くんと離ればなれになるのは、もう嫌やで」
真一「優香ちゃん…」
優香「(ゴールデンウィークに森岡と別れてから)この3ヶ月、ずっと寂しかった。私もやっぱりしんちゃんがいないとダメみたい…」
真一「優香ちゃん…」
優香「私の大好きな『近所のお兄ちゃん』…」
真一「えっ…?」
真一と優香が顔を合わせる。お互い顔を赤らめている。
優香「近所のお兄ちゃんは、真一くんだよ(笑)」
真一「えっ…? 全然近所やないやんか」
優香「近所や。北町と南町は近所や。大阪は遠いけど、南町は近いんや❗」
真一「…なぁ、無理がないか? それにオレ、北町に住んでたときは、優香ちゃん
優香「無理やないで。ホンマの近所ではないけど、『近所のお兄ちゃん』なんや❗」
真一「優香ちゃん…。それにオレ、お兄ちゃんやないで。だって、優香ちゃんの方が半年以上先に生まれてるんやで。だからそれを言うなら『弟』やんか」
優香「『しんちゃん』っていう弟は2人もいらんのや。北町に(優香の弟の)新次がいるから…。ウチにはお姉ちゃんと弟がいても、お兄ちゃんはおらんもん(いないから)。それに、長い目で私をずっと見てくれてるから…。この前(お盆休み)、くーちゃん(村田)から『ひっちゃん(加藤)が近所のお兄ちゃんと付き合うことになった』って聞いたやんか。ひっちゃん、近所のお兄ちゃんと付き合ってるんやで。ひっちゃんの近所のお兄ちゃんは、となりの家のお兄ちゃん、『幼なじみ』やんか。それに私にはお兄ちゃんがいない。幼稚園の時からしんちゃんが頼もしい、心強い存在やった。だから私にとって、しんちゃんは『近所のお兄ちゃん』なんや」
真一「そうか…」
優香「それに、北町南町は近いんや❗ だって、例えどれだけ離れてたとしても、どこにいても、しんちゃんは私のこと考えてくれるやんか。この前だって、私が
真一「えっ…❗ 優香ちゃん…、ゴメン…」
優香「いいよ。だからしんちゃん、安心して。もう離ればなれやないよ。私もまた、しんちゃんが
真一「優香ちゃん…」
優香「新潟にいる間は、お盆とお正月は北町に帰るから、めっちゃ近いやん(笑)」
真一「まぁ、そらぁ北町と南町はすぐやけど…」
優香「ね❗(笑)。 ……それで、しんちゃんは私と離ればなれになりたくないのはわかったけど、私とどうしたいの?」
真一は夢の中だとわかっていても、どうせなら…と、23年前に言えなかったことを夢の中でありのままを優香にぶちまけた。
真一「最初はオレの勝手な、一方的な考えやと思ってたんや。けど(でも)、優香ちゃんを見てたら『まさか…』とは思った。別に『幼なじみ』のままでも充分やと考えてた。けど、いま『腹を割って』話してたら、もうそんなどころの話やないなぁ…と」
優香「…………」
真一「それで…、…ただ『付き合ってほしい』というのでは、オレは正直に言うと不本意や」
優香「えっ…」
真一「ベタやし、優香ちゃんが引くかもしれんけど…、オレ、幼稚園の時に言うた記憶はないけど…」
優香「………?」
真一「優香ちゃん…、…お、大人になったら、オレ…」
優香「…………」
真一「オレの…」
優香「…………」
真一「…オレの…」
優香「…………」
真一「…オレの…、オレの…お嫁さんになってくれへんか?」
優香「…❗」
優香はびっくりして、顔を真っ赤にしていた。
そして優香は、口元を両手でふさいでいる。
真一も顔を真っ赤にしている。
優香「それ、ホンマなん?」
真一「こんな大事なこと、冗談やと思うか?
でも、こんなこと言われたら引くわな…」
しばらくして、優香は真一に強く抱きついてきた。
優香「…しんちゃん❗」
真一「やっぱり…、キザやったか…」
優香「ううん…、嬉しい。しんちゃん、こちらこそよろしくお願いします(笑)」
真一「えっ…、優香ちゃん…」
優香「しんちゃんの『トラウマ』、絶対に、絶対に私が解かすでな❗」
真一「優香ちゃん…」
優香「私、真一くんのお嫁さんになる。これで私の進路は決まったなぁ。真一くん、ありがとね。私も幼稚園の時、しんちゃんのお嫁さんになりたかったんやで(笑)。ホンマにありがとね、大好き❗」
真一「えっ…❗」
優香は嬉し涙を流した。真一は、優香に言った言葉に対しての優香の返事に、驚きと嬉しさが夢の中で込み上げていた。
優香「しんちゃん、その時はちゃんと迎えに来てね」
真一「…わかった」
優香「待ってるからね(笑)」
真一「…うん」
そして、優香が真一にしばらくそのまま強く抱きついていた。真一も優香を優しく包んでいた。真一は夢の中で23年の時を経て、優香に自分の本当の気持ちを正直に話すことかできたのだった。
優香「なぁ、しんちゃん」
真一「ん、なんや?」
優香「このままでいいの?」
真一「何が?」
優香「…………」
真一と優香が顔を合わせ、お互いを見つめ合っている。
真一「…………」
優香「…………」
真一「まさか…」
優香「うん、しんちゃんからしてね(笑)」
真一「えっ…」
優香「そりゃそうやろ? しんちゃんは『初めて』なんやからね…(笑) 。あ、でも不器用やし『トラウマ』があるから、仕方がないなぁ…」
真一「えっ……」
優香「…………」
優香は真一の唇に自分の唇を重ねた。
真一は、一瞬何が起こったのかわからなかった。
優香「(笑)…」
真一「な、なに?」
優香「ん? わからんかった?」
真一「今、何が起こったのかと思って…」
優香「ん? しょうがない(仕方がない)なぁ…、はい…」
優香が真一にキスをする。優香が笑う。
優香「これでわかった?(笑)」
真一「え…、あ…、うん…」
優香「顔赤いで(笑)」
真一「…………」
優香「あ、そっか、『トラウマ』やったなぁ…、急にしちゃってゴメンな」
真一「え…、あ…、うん…」
優香「さっきから『え…、あ…、うん…』しか言うてへんよ(笑) めっちゃドキドキしてるでしょ? 顔も真っ赤なままやし(笑)」
真一「……………」
優香「しんちゃん、これからは私が絶対絶対、しんちゃんのトラウマを解かすから、安心してね…」
真一「…うん」
優香「あ、もう夕方やんか。晩ごはん、何食べたい?」
真一「あ、そうか、もうそんな時間なんや…。何か食べに行くか?」
優香「スーパーへ買い物行って、考えよっか?」
真一「わかった」
優香「いい?」
真一「うん」
優香「じゃあ行こっか、私の将来の旦那様(笑)」
真一「…………」
優香は、終始笑顔で真一が運転する車でスーパーへ買い物に出かけた。いつになく優香が満面の面持ちで真一とスーパーで買い物をしている。
真一「基本的に自炊してるん?」
優香「うん。まぁ私が食べる量はしれているから…」
真一「そうか」
優香「しんちゃんは、おばさんの作ったご飯でしょ?」
真一「うん」
優香「いいなぁ、うらやましいわ」
真一「そうかなぁ…」
優香「高校の時に食べさせてもらったお好み焼き、めっちゃ美味しかったもん」
真一「そうか」
優香「うん。私も堀川家の味、頑張って覚えるでな(笑)」
真一「そうか」
優香「うん」
買い物を終えてマンションに戻った真一と優香は、早速夕食の準備にとりかかる。
優香が手際よく夕食を作って、真一と一緒に食べる。ハンバーグだった。
真一「いただきます」
優香「どうぞ」
真一がハンバーグを一口食べた。
真一「うん、うまい❗」
優香「ホンマ?」
真一「うん(笑)」
真一が無我夢中でハンバーグを食べている。それを優香はじっと見つめていた。
優香「ご飯、おかわりあるよ」
真一「じゃあ、半分だけもらえる?」
優香「はい」
真一がご飯をおかわりした。
優香「しかし、美味しそうな食べっぷりやなぁ(笑)」
真一「そうかなぁ…。まぁ『うまいもんはうまい』でなぁ」
優香「食べっぷりみてて、気持ちいいわ(笑)」
真一「そうか…」
優香「うん」
真一と優香がご飯を食べ終えた。
真一「ごちそうさまでした。めっちゃ美味しかった」
優香「いいえ、お粗末さまでした」
優香が後片付けをし、真一も手伝った。
優香「ありがとう」
真一「いいえ、ごちそうになったんやから、これくらいは…」
優香「いい旦那さんになれるわ(笑)」
真一「そうか?」
優香「うん」
真一「いい奥さんになれるわ(笑)」
優香「そりゃあ、将来の旦那様が不器用なんやからね…(笑)」
真一「悪かったなぁ、不器用で」
優香「しゃあない(仕方がない)やん、幼稚園の時から不器用なんやから(笑)」
真一「……………」
優香が終始笑いながらも、夕食の後片付けを終えて、優香が真一に話す。
優香「しんちゃん」
真一「ん?」
優香「お風呂、シャワーでもいい?」
真一「かまへんで(構わないよ)」
優香「わかった。じゃあ、しんちゃん先に入って」
真一「いいの?」
優香「うん、どうぞどうぞ」
真一「じゃあ、お言葉に甘えて…」
真一がシャワーを浴びに風呂へ向かった。
真一がシャワーを浴びている。頭を洗うために、シャンプーをし始めた。泡が入らないように目を瞑っている真一。すると、後ろで風呂の扉が開く音がした。
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