第32話 23年前の夢を見る真一…『真一と優香・夢の中で「腹を割って話す」』④
(回想・夢の中)
優香「あのな、今しんちゃんの『独り言』聞いてて、私もあくまで自分に言い聞かせる為の『独り言』やと思ってほしいんやけどな…」
真一「うん…」
優香が深呼吸をする。
優香「私、高校の時にしんちゃんをだいぶ困らせてたんやなぁ…。ホンマにゴメン。しんちゃんの『独り言』聞いて、知らんこともあった。『私、何やってたんだろう?』って…。しんちゃんに『やきもち』妬かせようとしたら、それが仇になって、しんちゃんを余計に困らせてたなんて…。結局、森岡くんと付き合って、大学入ったら別れて…。森岡くんと付き合いだしてからは、しんちゃんが今までよりもかなり何も言わなくなってしまって…。昔のしんちゃんが見当たらなくなってしまって…。私、しんちゃんを
真一「……………」
優香「…私、いっつも(いつも)しんちゃんに見守られてたのに、
真一「……………」
優香「こんな私でも、しんちゃんは私のこと気にかけてくれてた。森岡くんと付き合ってても、私の知らん所でも…。『さすがしんちゃん』って思った」
真一「……………」
優香「どんだけ勉強できて賢い人間よりも、人助けして気にかけてくれる人の方が賢いと思う。私にはそんなことできへん(できない)。幼稚園の時からずっと変わらんなぁ、真一くん」
真一「……………」
優香「『トラウマ』があったから、いつもの真一くんじゃなかったんや…。全然知らんかった。相当辛かったんやなぁ…。くーちゃん(村田)との(真一へ恋愛に興味もたせようと説得させた)ことは、私が悪いんや。あんなにしんちゃんを説得させて…。しんちゃん、しんどかったなぁ…。ホンマに私、何やってるんやろ…って。許してもらわれへんよね、こんな私って…。普通はそうやんなぁ(そうだよね)…。これだけ傷つけて、しんちゃんの気持ちも知らずに…」
真一「……………」
優香「私、どうかしてた。しんちゃんのこと幼稚園の時から知ってて、優しくて、真っ直ぐで、いっつも笑ってて、不器用で、鈍感で…。でもそれが、しんちゃんのいいとこやもんなぁ…。私、それを知ってるのに…」
真一「……………」
優香「こんな『恩を仇で返す』ようなことしてても、しんちゃんは今も私のこと、私が
真一「…………」
優香「しんちゃん、ホンマにゴメンね、ホンマにありがとう」
真一「あぁ…。オレを誰やと思ってんねん。幼なじみの真一くんやで」
優香「そうやな…(笑) しんちゃんから電話くれたときもめっちゃ嬉しかった。愚痴こぼしたハガキを送ったら、すぐに電話してくれて、『ひとりぼっち』でも少し安心した。でも電話やから、声しか聞こえへん(聞こえない)から、しんちゃんに会いたかった」
真一「そうか…」
優香「うん」
真一「なんでオレに会いたかったん?」
優香「しんちゃんやから(だから)や」
真一「なんでオレなん?」
優香「…『いつでも愚痴こぼしてくれたらいい』って、しんちゃんが私に言ってくれたから…」
真一「村田さんとかには愚痴こぼさへんのか?」
優香「しんちゃんだけや」
真一「そうか…。近所のお兄ちゃんには?」
優香「……………」
優香は『近所のお兄ちゃん』のことは何も話さない。それは23年前、実際『腹を割って』話したとき、『近所のお兄ちゃん』は真一のことだったからだ。それを真一は夢の中ではあえて優香に聞いたのだった。
真一と優香は、夢の中で『腹を割って』話し始めてから2時間が経過していた。
優香「なぁ、お腹空いた?」
真一「オレは大丈夫やで」
優香「私も大丈夫やで。もう少し話そ」
真一「うん…」
優香「でも、もっと遅くなるから、簡単に何か食べる?」
真一「それでもいいよ」
優香「じゃあレトルトのカレーでもいい?」
真一「いいよ」
真一と優香はレトルトカレーを食べて、昼食を簡単に済ませた。
優香「しんちゃん、話の続きしよっか?」
真一「うん…。しゃべり疲れてないか?」
優香「大丈夫。しんちゃんと久しぶりにいっぱい話せて嬉しいし、懐かしい(笑)」
真一「そうか…」
優香「うん…」
真一「これだけでもかなりしゃべってるけどなぁ…」
優香「幼稚園の時からずっとこんなふうに話してたんやもんね(笑)」
真一「そうやなぁ…。変わらんなぁ。変わったのは、優香ちゃんが『大人の女性』になったことかな…」
優香「そんなん、しんちゃんだって大人の男性になってるやんか。第一、働いてるんやから…。私なんてまだ大学生やで。遊んでるんやで」
真一「そんなことない。優香ちゃんは幼稚園の時からかわいいから、大学でも絶対、
優香「大学にはいないの」
真一「『北町南町』におる(居る)んやったな…」
優香「…うん。なぁ、しんちゃん」
真一「ん?」
優香「それで私はどうしたらいい?」
真一「……………」
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