第28話 23年前の夢を見る真一…『真一、夢の中で新潟へ行く』②

(回想)

目が覚めた真一は頭を掻きながら心の中で呟く。





真一(はぁ…。『どうしたらいい?』は出てこんかった(出てこなかった)なぁ。とうとう新潟行きですか…。夢の中で『リベンジ』とはいえ、優香ちゃんにどう返事したら…。うまいこと言える自信、全くない。現実やないのに、何一人で困ってるんやろオレ…。アホちゃうか…)




真一は日中、仕事を適当にこなしながら昼食をどうするか考えていたとき、幼稚園近くに来た。そのとき、自然と車が幼稚園に向かっていた。



幼稚園近くのファミリーレストランで昼休憩をとることにした真一。日替わりランチを注文し、コロナ対策でマスクを着用して待っている間、店内を見渡していた。そして夢でも見た光景が真一の頭の中で甦る。













(回想)

幼稚園卒園を迎え、真一と優香は小学校が別々になることとなり、卒園式後、真一、優香の母親子同士で近くのファミリーレストランで食事をした。


終始優香はしょんぼりして、真一と離ればなれになるのが嫌だった。そんな優香を見て真一は、お子さまランチのハンバーグを食べながら、優香の頭をずっと撫でていた。真一に頭を撫でられている優香は、真一にべったり引っ付いて、真一の右肩に頭をもたれさせていた。2人は何も言わずに静かにしていた。











真一(幼稚園あの時から優香ちゃんといつも通りやったし、卒園の時に優香ちゃんがオレに甘えてたんやったなぁ…。それが高校の時も変わらんと思ったんやけど、白木とか坂本とか、みんなから『めっちゃ仲が良い』って言われて不思議やったけど、とうとう森岡まで言うてたなぁ…。よう言われたけど、これはホンマに『幼なじみ特有のこと』なんか?)




店員「お待たせしました、日替わりランチです」



店員から日替わりランチを供された。

真一は黙々と食事をした。




その夜、自宅マンションで妻のみつきが先に寝たことを確認して、真一も布団に入る。










(回想・夢の中)

真一は、当時就職していた福町の仕事場から定時の5時30分に退社し、車で一路新潟に向かった。福町を出るときに新潟の優香に電話をかけた。



優香「もしもし」

真一「もしもし、福町ですが…」

優香「真一くん、お疲れ様」

真一「仕事終わったから、これから新潟そっちへ向かうわ。近くまで行ったらまた連絡するわ」

優香「わかった。気をつけてね。お風呂沸かして待ってるからね(笑)」

真一「ゴメン、ありがとう。じゃあまた夜に…」

優香「うん」



そう言って、真一は黙々と車で福町から高速道路に乗って、途中北陸自動車道に乗換え、一路新潟へ向かった。



真一「夢で北陸自動車道を走るなんて…」



真一は夢の中なのに、北陸自動車道で福井県、石川県、富山県を車で走っていた。



真一「忠実に再現されるんやな、この夢は…。といっても、当時は新潟へ行ってないけどなぁ…(苦笑)」




そして、ようやく新潟県に入る真一だった。

途中、サービスエリアで休憩をとりつつ、優香に電話をかけた。時計を見ると、午後11時半だった。



優香「もしもし」

真一「遅くにゴメン、真一やけど…」

優香「しんちゃん、今どこ?」

真一「新潟県には入ってるで」

優香「そっかぁ…。もう少しやなぁ」

真一「そうやなぁ…」




真一は優香にマンションの場所を聞き、車を走らせた。



それからしばらくして、優香のマンションに到着した真一だった。優香がマンションの入口で待っていた。真一は車をマンションの駐車場に停め、荷物をもって優香の方へ向かった。




優香「しんちゃん❗」

真一「ゴメンな、夜中になってしもうて(しまって)…」

優香「大丈夫。仕事終わりで来てくれてありがとね。長いドライブお疲れ様❗」

真一「うん、こちらこそ遅くまで起きて待ってくれててゴメンな」

優香「大丈夫や。いつもこれくらいは起きてるから…」

真一「そうか」

優香「うん。あがって」

真一「じゃあ、おじゃまします」

優香「どうぞ」




真一は優香に案内され、優香のマンションに入った。


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