第21話 23年前の夢を見る真一…『23年ぶりの「どうしたらいい?」』④
(回想)
真一は毎晩のように、優香の夢を見ていた。
(回想・夢の中)
優香「なぁ、しんちゃん」
真一「なんや?」
優香「私、どうしたらいい?」
真一「どうしたら…って?」
優香「私、森岡くんと別れたやんか」
真一「うん」
優香「私、これからどうしたらいい?」
真一「どうしたら……って…。どうしたらいいんやろなぁ…(笑)」
優香「どうしたらいい?」
真一「いや、今まで優香ちゃんに相談されたことないから、初めてで…。どうしたらいいんやろなぁ…ホンマに」
優香「………」
(回想)
真一は連日、優香の『どうしたらいい?』と聞いてきた夢を見て、困惑していた。そして心の中でぼやいていた。
真一(一体、どうしたらいいんや…。『どうしたらいい?』って毎晩夢の中で聞かれても、オレが『どうしたらいい?』って聞きたいわ…)
夢の中で『もう少し返事を待ってほしい』と優香に話した真一だった。しかし、それはあくまでも『夢の中での話』で、これ以上夢を見たくないので、あくまでも『その場しのぎ』だと真一は割りきっていた。
ところが、そう思っていた真一はその後も同じ夢を毎晩見ていた。
(回想・夢の中)
優香「なぁ、しんちゃん」
真一「なんや?」
優香「私、どうしたらいい?」
真一「どうしたら…って?」
優香「私、森岡くんと別れたやんか」
真一「うん」
優香「私、これからどうしたらいい?」
真一「どうしたら……って…。どうしたらいいんやろなぁ…(笑)」
優香「どうしたらいい?」
真一「いや、今まで優香ちゃんに相談されたことないから、初めてで…。どうしたらいいんやろなぁ…ホンマに」
優香「………」
目が覚めた真一は、頭を抱えていた。
真一(はぁ…。優香ちゃん、夢の中までどないしたんや(どうしたんだ)? まさか、ホンマにオレの考える時間を待ってるわけないやろ…)
その後も真一は、優香が『どうしたらいい?』と聞いてくる夢ばかり見たのだった。
(回想・夢の中)
優香「なぁ、しんちゃん」
真一「なんや?」
優香「私、どうしたらいい?」
真一「どうしたら…って?」
優香「私、森岡くんと別れたやんか」
真一「うん」
優香「私、これからどうしたらいい?」
真一「どうしたら……って…。どうしたらいいんやろなぁ…(笑)」
優香「どうしたらいい?」
優香「どうしたらいい?」
優香「どうしたらいい?」
真一は目を覚ました。
真一「はぁ…」
真一が頭を抱える。そして心の中でぼやいた。
真一(これはいよいよ、夢の話でも、ホンマに考えなアカンのか…? マジか…。冗談やろ? 優香ちゃん、『どうしたらいい?』ってオレが言いたいわ…)
浅田「(笑)」
真一「笑い事ちゃう(違う)わ❗」
浅田「ええ夢見てはりますやんか(笑)」
真一「『そんなヤツおらへんやろー❗』って、漫才のネタやないんやから…」
浅田「(笑) 。夢の中でも翻弄されてますやんか(笑)」
真一「困ったって…」
浅田「それで『どうしたらいい?』の夢を連日見て、どうしたんや?」
真一「ホンマ、頭おかしなった(おかしくなった)かと思ったわ。ノイローゼになりそうやった」
浅田「それでまた、その夜もええ夢見て…(笑)」
真一「振り回されるだけやわ」
浅田「で、どうしたんや?」
真一「それでや…。夢の中でも『切ない話』を再現させるわけにいかんから、夢の中では『結論先送り』したんやけど、『どうしたらいい?』の夢を連日見るもんやから、これはいよいよ考えなアカンのか…と思ってな、23年前に戻って考えたわ」
浅田「考えたんや」
真一「所詮夢の中やし、あの頃には戻れんし、オレにもし『トラウマ』があっても前向きに考えたらどうなったのか、ホンマに考えてみたんや」
浅田「そうか…」
(回想)
真一は優香の『どうしたらいい?』の夢を連日見てから、23年前に『叔父さんのこと』で『トラウマ』になっていても、前向きに考えたらどうなったのか、真剣に考えてみることにした。
ある土曜日、妻のみつきが仕事に出かけてから、真一が自宅マンションでテレビのニュースを少し見ながら朝食をとる。その後、買い物に行くのに開店時間まで時間があり、真一はボーッとしていた。そして夢の中で連日優香が『どうしたらいい?』と聞いてきたことに対して考え始めた。しかし妙案が全く思いつかない。白紙の状態だった。
真一(あの時、優香ちゃんは森岡とゴールデンウィークに別れたんやったなぁ。森岡曰く『遠い、飽きた』という理由やったんやなぁ。それで森岡とはやり直さん(やり直さない)…と優香ちゃんはキッパリ言うとった。あえて本心は聞かんかったから、2人の間に何があったのかはわからんが…。それに森岡も森岡や。大阪へアイツを送った時、オレに『あとはお前が…』とかなんとか言うとった。えらい強がり言うてたけど、未練タラタラやったしなぁ…。結局、優香ちゃんと『腹を割って話』したら、優香ちゃんはオレが優香ちゃんの『初恋の人』やったんや。お互いがお互いのこと『初恋の人』やったんや。けど実際はオレの『トラウマ』が強すぎて、全く前向きになれんかったんや。だから、切ない話になってもうて…。あの時、もうちょっとらしい言い方、無かったんかなぁ…)
その後も真一は優香の夢を見ていた。
ある日の事…。
(夢の中)
優香「どうしたらいい?」
真一は目を覚まして、頭を抱え、ため息をついた。
真一「はぁ…」
みつき「どうしたん、ため息ついて…?」
真一「いや、なんでもない…」
みつき「そう」
真一は答えが出ないので、優香の夢の中で『どうしたらいい?』と聞いてくる事について、答えにつながるヒントがないか考えていた。しかし、ヒントすら思いつかなかった。
真一(これはいよいよ致命傷やな…)
そこで真一はヒントにつながる『ヒント』がないか、探してみることにした。といっても、何を探せばいいか、手がかりすら見つからず、皆目検討つかなかった。
真一(難しいなぁ…。『どうしたらいい?』って、簡単な問題文やけど、答え出すのはかなり難しい。やっぱりアホで不器用な人間には、とてもやないけど答えは出て
真一はいよいよ『頭打ち』だと半分諦めていた。
真一(やっぱりオレ、あの時は『切ない話』で良かったんやなぁ…。優香ちゃんに何も良い返事なんか、オレには出来んわなぁ…)
そう諦めていたある日、真一が仕事で北町南町を営業車でまわっていたときのことだった。北町から営業車で南町の事務所に戻るときだった。信号待ちをしていて、歩道に人影が見えた。真一が何気なく歩道の方へ目を向けると、幼稚園児が徒歩にて帰宅途中で先生が引率している光景だった。そして少し上に目をやると、コアラの絵が書いてある幼稚園の看板を見つけた。その幼稚園は、真一と優香が通っていた幼稚園だった。
真一「幼稚園………、幼稚園……、幼稚園…」
(回想・夢の中)
優香「どうしたらいい?」
真一「幼稚園や❗」
真一は事務所に戻らず、体が勝手に動き、信号が青になって交差点を左折し、幼稚園に向かった。
真一(オレと優香ちゃんが初めて出会った場所や。幼稚園に行ったら、何かヒントの『ヒント』が見つかるかもしれん…)
真一は幼稚園の前を車でゆっくり通った。
真一「変わったなぁ…。まぁ、36年前に卒園してからは、高校の時に優香ちゃんと一度だけ、ここの前を歩いたことがあったなぁ…」
真一は少し冷静になると、仕事の途中であることを思い出し、南町の事務所に戻った。
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