第79話 合宿帰りの車内
すべての日程を終え、ホテルのチェックアウトも済ませた後。
俺たちは海江田さんに見送られながら、汐留海遊浜を後にしていた。
泣き腫らした目でいまだに鼻をすすっている中野先生が運転するワゴン車内では、会話らしいものは何一つなく、俺はただ車窓から流れていく海の景色を眺めているのみ。
雪平も同じく、山側の崖に視線を向けている。
長いようで……やっぱり長かった合宿も終わり、いつもの日常が戻ってくる。
中野先生がしれっとピンハネしようとしていた給料も無事もらえたわけだし、今日はこれを使って桜と外食というのも悪くないかもしれない。
とはいえ、やっぱり今日の夜は桜の手料理が食べたいかなぁ……。
なにせ、この合宿期間の食事といえば、賄いの焼きそばかコンビニ弁当の二つしかなかったからな。さすがに帰ってからの外食はキツいところがある。
そんなことを考えているうちに段々うとうとと眠気がさしてきた。
ちゃんと睡眠はとったつもりだったが、昼の一時という時間帯や合宿の疲れなどからきているのだろう。
––––まだ到着まで二時間くらいだし、その間だけ……。
俺は重い瞼をゆっくりと閉じた。
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