第75話 選択肢
夕食後、私はお風呂に入りながらずっと考えていた。
自分にとってどっちが一番いい選択肢なのかを。
たしかに雪平さんがお兄ちゃんのことを好きになってしまえば、それは強力なライバルとなります。見た目といい、中身といい、家系といい……女子が羨むすべてを彼女は持っている。
仮にそうなってしまった場合、お兄ちゃんは三者択一を迫られるわけになると思うけど……現状、見た目だけで判断するのであれば完全に私が最下位だ。決して自分のことをブスだとかは思ってないよ? ナルシストではないにしろ、こう見えて告白だって何度もされたことあるし、ラブレターだっていっぱいもらったことあるけど、その都度、丁重にお断りをさせてもらっている。
――こんなに一途なのに……。
そう言えば、私ってなんでお兄ちゃんのことを好きになったんだっけ?
気がつけば、夢中になるくらいに好きになっていたからその部分がよくわからないけど、でも、好きに理由なんてないよね。あんな凡人で少し捻くれていても私以外に好意を寄せている子なんているんだから。
「よしっ。決めた!」
ザバァン!
私は浴槽から立ち上がると、小さくガッツポーズをとります。
いつまで考えていてもキリがないし、私らしいやり方をすればいい。
それでお兄ちゃんにフラれるのなら、仕方がない。私としてはそれが本望であり、キッパリと諦めもつく。
ようやく考えがまとまったところで私は入浴を終えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます