第75話 選択肢

 夕食後、私はお風呂に入りながらずっと考えていた。

 自分にとってどっちが一番いい選択肢なのかを。

 たしかに雪平さんがお兄ちゃんのことを好きになってしまえば、それは強力なライバルとなります。見た目といい、中身といい、家系といい……女子が羨むすべてを彼女は持っている。

 仮にそうなってしまった場合、お兄ちゃんは三者択一を迫られるわけになると思うけど……現状、見た目だけで判断するのであれば完全に私が最下位だ。決して自分のことをブスだとかは思ってないよ? ナルシストではないにしろ、こう見えて告白だって何度もされたことあるし、ラブレターだっていっぱいもらったことあるけど、その都度、丁重にお断りをさせてもらっている。

 ――こんなに一途なのに……。

 そう言えば、私ってなんでお兄ちゃんのことを好きになったんだっけ?

 気がつけば、夢中になるくらいに好きになっていたからその部分がよくわからないけど、でも、好きに理由なんてないよね。あんな凡人で少し捻くれていても私以外に好意を寄せている子なんているんだから。


「よしっ。決めた!」


 ザバァン!

 私は浴槽から立ち上がると、小さくガッツポーズをとります。

 いつまで考えていてもキリがないし、私らしいやり方をすればいい。

 それでお兄ちゃんにフラれるのなら、仕方がない。私としてはそれが本望であり、キッパリと諦めもつく。

 ようやく考えがまとまったところで私は入浴を終えた。

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