第71話
午後三時が過ぎ、ようやく客が引けたところで本日の業務は終了となった。
中野先生と海江田さんは昨日と同じようにビールを飲みながら、昔話でもするということだったので俺と雪平は海の家を出たんだが、帰り際に……
「和樹くん。少し浜辺を歩きませんか?」
と、誘われたため、今まさに浜辺を歩いている真っ最中。
こうして海をのんびりと眺めるのはいつぶりだろうか?
果てしない大海原を見ていると、なんと言うか……心が浄化された気分になってしまう。
周りを見渡せば、まだ昼下がりということもあって来訪者は多く、サーフィンや遊泳、ビーチバレーなどを楽しんでいる人もいれば、パラソルの下でゆったりと過ごしている人もまた少なくない。
「で、なんでまた俺を?」
俺は隣を歩いている雪平に疑問をぶつける。
相変わらずのぺったんこなくせに生意気にも胸にはパッドが敷き詰められている。
「なんとなくよ。ただ一人で浜辺を歩くのは寂しいから」
「そうか。俺はてっきり何か相談事でもあるのかとばかり思ってたけどな」
「今は特にないわ。でも……いずれは相談することになるかもしれないわね」
雪平は横目で海の地平線を見つめながら、そう言った。
――いずれは、か……。
それはおそらく雪平の家庭がらみの何かだろうか? 以前にも雪平の家庭環境について話したことがある。
が、雪平の性格を考えると、私情を他人にあまり話すとは考えにくい。
となると、残るは勉学の方向しかないんだが……まぁ相談内容に関してはその時でいいか。別に今、考えたところでどうしようもないしな。
「今日はお疲れ様」
「あ、ああ、雪平もな」
「明日でやっと帰れるわね」
「そうだな」
「ところで、私に夜中発情してオ◯ニーとかしてないわよね?」
俺は思いっきり吹き出す。
「お前、砂浜のど真ん中で何をほざいてんだよ!? してるわけねーだろ!」
「そう? てっきり欲情して妄想を膨らませながらしているのかとばかり思ってたわ。この変態」
雪平の蔑むような視線が俺に突き刺さる。
「変態はお前だろーが!」
ほんと、ときどき変なことを口にするよなこいつ。
口さえ閉じていれば、美少女そのものだって言うのによ……。まったくもったいないやつだ。
この後も似たような会話が続く中で俺たちは気が済むまで浜辺を歩き続けた。
【あとがき】
義妹ロスっす。明日、家でお留守番中の義妹の様子を投稿します。
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