第54話 合宿当日の朝
合宿当日の朝。
俺はいつもより少し早起きしたところで、荷物の最終確認を行う。
現地に到着したところで水着がなかったり着替えを持ってきていなかったら最悪だからな。
一応着替えは多めに下着一式四着と水着とその上から着る薄いパーカー。サンダルにバスタオル。あとは……これくらいだろうか?
前日になってようやく中野先生から送られてきたメールの内容と照らし合わせながら、再度確認。
三度ほど確認し終えたところで荷物が入ったボストンバッグを玄関先へと運ぶ。
その頃にはもうすでに午前六時半をすぎていた。
俺はすぐに服へと着替えると、顔を洗い、朝食の準備に取り掛かる。
いつものマーガリンとバターを塗りたくったこんがりトーストをすぐに腹の中へと収めたところで午前七時十二分。桜が眠たそうな目を擦りながらリビングへとやってきた。
「おはよう。お兄ちゃん……」
そう言いながら、大きなあくびをかます妹。
「ああ、おはよう。もうそろそろ家を出るけど……何か頼みたいこととかあるか?」
「ん? 頼みたいこと……お兄ちゃんが無事に帰ってきてくれればそれでいいよ」
桜は事もなげな感じでキッチンの方へと入っていく。
「そ、そうか……」
そんな事いきなり言われたら、ちょっと気恥ずかしいじゃないか……。
朝っぱらからほっこりするような気持ちになりながらも、なんとなくではあったが、キッチンの方にいる桜の頭を撫でてやる。
「……やっ。いきなり何するの?」
「いや、なんとなくだよ。じゃあ、そろそろ家出るわ。たぶん月曜日頃には帰ってこれると思うから」
「……うん」
桜は俯きがちになりながらも小さな声で返事をしてくれた。
これから合宿……。
学校一の美少女と二人きりの合宿と聞けば、この上ない喜びに満ち溢れると思うのだが、こと雪平に関してだけは決してそういう気持ちにはならない。
今から合宿の先を考えるだけでも大きなため息が出てしまうと言うのに、実際になったら俺どうなるんだろうか? もうため息ばかりでまともに話せないんじゃないか?
そんな馬鹿らしいことを思い浮かべながらも、俺はリビングを出て、玄関先へと向かう。
「お兄ちゃん……」
「心配すんなって。向こうに着いたらちゃんと連絡するから」
「……うん、わかった。じゃあ、気をつけてね?」
「ああ、いってきます」
俺はボストンバッグを手に玄関ドアを押し開く。
その瞬間、朝の眩しい光が一気に襲いかかり、思わず目を細めてしまうが……うん、今日もいい天気だ。
空を見上げれば、雲一つない晴天。
天気予報でも今日は今季最高気温を記録しそうということだったし、雨が降るということだけはないだろう。
朝七時半前だというのにもう暑い……。
そんな中を俺は学校の校門を目指して、歩き始めた。
【あとがき】
新作のタイトルが決まったお。
その名も『ずっと好きだった幼なじみに告白したら、フラれてしまったのでイケメンになって見返そうと思います』
まだ仮だからもしかしたらまた多少なり変わるかもしれないけど、だいたいはこんな感じだお。
プロットも今は作成中で今週の土曜日には投稿したいけど、まだわからないお。
ちょっとだけ情報公開すると、根暗で隠キャな主人公が超絶可愛い幼なじみに告白したらフラれてしまい、その様子を見ていたある美少女が見返すためにいろいろと手助けをしてくれるという……まぁこんなストーリーだお。
投稿された際は読んでくれると嬉しいお。
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