第39話 学力検査当日①
午前中までみっちりと勉強をした俺は、制服へと着替える。
まだ学力検査まで二時間ほどもあるというのにもうすでに緊張感が高まり、少し気を抜いただけでも手の震えが止まらない。
やがて筆記用具などの荷物を入れたカバンを手に自室を出て、一階へと降りる。
リビングの方からは食欲をそそるようないい匂いが漂ってきた。
––––今日はカレーか。
そう思いつつ、カバンを玄関先へと一旦置き、リビングへと入る。
「お兄ちゃん昼ごはんできてるけど、もう食べるよね?」
昨夜のことは何もなかったかのように可愛らしいフリルが付いたエプロンを身につけている桜。
「ああ」
俺は所定の位置に座ると、すぐに昼食が運び込まれてきた。
「カツカレーか」
「うん! 今日は大事な日、なんだよね? だから、お兄ちゃん頑張って!」
「おう、ありがとな」
こうして、普通にしている方が献身的でいいと思うんだけどなぁ……。何も夜這いをかけなくても……ね?
「いただきます」
俺は時間がないため、先に食べることにした。
出来立てということもあって、少々熱いが、どんどんと食べ進めていく。
そして、桜が席へと着く頃には皿の上をきれいにしていた。
「ごちそうさまでした。じゃあ、俺そろそろ行ってくるから」
「うん、いい結果期待しているよ? というか、お兄ちゃんなら心配ないよね? 期末テストの順位だって一位だった上に満点でしょ? なら、大丈夫か」
「そうであるといいんだけどな。まぁとりあえず、六時ごろには帰ってくると思うから」
「わかった。いってらっしゃいお兄ちゃん」
俺はリビングを出ると、玄関先に置いておいたカバンを手に取る。
それからして、十二時二分。
気を引き締めながら昼真っ只中の外へと飛び出した。
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