第26話 卑猥なことしたんじゃないの?

「和樹くん。あなた涼宮さんに何かしたの?」


 屋上のいつもの場所で弁当をつついている中、隣で同じく昼食を摂っていた雪平がふとそんなことを聞いてきた。


「いや……というか、今日初めて会った奴に何をするんだよ」

「卑猥なこと」

「しねーよ! てか、何気に距離を取ろうとするのやめてくんない?」


 別に雪平がどこで昼食を摂ろうが、もうどうでもいいんだが、その発言の後にそのような行為をされてしまえば、いくらぼっちでメタルハートな俺でも多少なり傷ついてしまう。

 とはいえ、初対面の奴にしては行動が何もかも意味不明だということは事実。

 涼宮凛……一体何がしたいのだろうか。


「って、見てたのかよ……」


 今更ながらに気がついた。

 雪平の席の位置的に考えても後を振り向かなければ見えないと思うのだが……。


「見てたと言うよりかは、涼宮さんの様子が目立ってたのよ。まるで人形みたいにじ〜っと和樹くんのことを見てたから……もしかして一目惚れされちゃったとか?」

「いやそん――」

「そんな奇跡に近いことあるわけないわね。ごめんなさい」

「憐れむような目で俺を見るな!」


 たしかに銀髪碧眼美少女から好意を寄せられるなんて奇跡の何者でもないだろう。

 だがな、雪平。この世には言っていいことと悪いことがある。お前がこれまで発言してきた中ではほとんど悪いことだらけだ。もう少しその分岐点を弁えたらどうかね?


「なんで私があなた如きに気を遣わなければならないのかしら……」

「は?!」

「いえ、こっちの話よ。別に和樹くんが気にすることでもないわ」


 一瞬心を読まれたかと思った……。いや、過去にも読まれた経験はあったけども……。

 しかし、話は戻るが、ずっとこのままというわけにはいかない。

 授業にも集中できないし、期末テストや七月四日に行われる学力検査にも影響が出てきてしまう。


「まぁ今の状況が嫌ならどうにかするしかないわね」

「結局そこに落ち着くよなぁ……」


 涼宮さんにどうやって切り出すか……。

 うーん……。

 放課後、話しかけてみるか? 俺的には難易度高いけど……。

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