第23話 夜道

 一時間が経過して、本日の部活は終了した。

 俺と桜は雨がまだ降りしきっている中を相合い傘をしながら、帰宅路を歩いている。

 全体は時間帯や分厚い雨雲のせいもあって、かなり暗く、街灯がなければ、完全に真っ暗闇な状態だ。

 そんな中で桜は俺にかなり密着しながら「ふんふん♪」とご機嫌よさそうな鼻歌を口ずさんでいる。


「ちょっとくっつきすぎじゃないか?」

「そうかな? これ以上離れると、桜濡れちゃうけど?」


 そう言われてしまうと、俺としてもこれ以上何も言えん。

 下手に離れさせて、風邪でも引かれてしまえば、それはそれでいろいろと困る。


「今日の晩ご飯は何にするか?」


 帰宅した頃にはおそらく午後七時が近いだろう。

 それから夕ご飯を作るのはちょっと……気分的にも嫌だ。


「うーん……お兄ちゃんに任せる!」

「……わかった」


 じゃあ、もう何かのデリバリーでいいよな?

 そう言えば、最近ではネット注文でもデリバリーができるようになったみたいだし、初めてだけど、この際利用してみるか……。

 大きな雨粒が一つ一つ傘の布に衝撃を与えながら、俺たちは暗い夜道を歩いて我が家を目指した。

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