第19話 勉強
夕食と風呂を終え、俺は二階にある自室でちょっと早めの勉強に取り掛かっていた。
毎日一時間程度で学年一位を取れるとはいえ、今後からは特別推薦枠をかけた戦いが行われる。
先ほど学校から配布されたノートPCを何気に起動させた際、中野先生から一通のメールと添付資料が送られてきた。
俺はそのメールを確認し、添付資料を開く。そこには市内全域の高校生を対象とした学力検査の案内だった。
実施日時は約一ヶ月後の七月四日十三時。
場所は市役所三階大会議室となっている。
対象者は主に特別推薦枠を狙っている生徒と若干名の一般生徒。
定員は百名。
この中で俺は一体どれくらいの順位にこぎつけることができるだろうか……。
特別推薦枠の選考基準としては学力というよりもこれまでの評定や一般常識と言われている。
これからの時代は学力……つまり“知識力”が全てではなく、物事を考える“思考力”やそれに対してどうするかを決める“判断力”も重要だ。
……と、以前ネットの記事などで読んだことがあり、完全に売り言葉に買い言葉なのだが、日本で一番エリート大学の卒業生ですら中にはニート生活を送っているという人もいるらしいし、完全にこの考えが間違っているとは限らないだろう。
それに今度行われる学力検査も主催は例の特別推薦枠を出している小松原大学だし、もしかすると、“ただの検査”ではないかもしれない。
ここは気を抜かず、本気の本気を出さねば……俺は一位を取ることはおろかトップ十位にもランクインできない可能性がある。
というわけでいつもより一時間早い勉強をしているのだが、一時間経過した午後九時過ぎ。
自室のドアがふと叩かれる。
「はーい」
俺は一旦勉強を中断し、ドアの方に視線を向けると、パジャマ姿の桜がひょっこりと顔だけを覗かせてきた。
「勉強中にごめんね?」
「いや、ちょうど休憩しようかなって思ってたところだったからいいよ。それで何の用だ?」
「その……用っていうほどでもないんだけどさ、明日から桜が家事とかしようかなぁなんて……」
桜はどこか照れ臭そうな表情を浮かべ、視線をどこかに逸らしてしまう。
もしかすると桜も桜なりに俺のことを気遣ってくれているのかもしれない。特別推薦枠のことを話した覚えはないけど。
それでもやってくれるというのなら非常にありがたいし、この上ない。
「じゃあ、頼んでもいいか?」
すると、桜はぱぁ〜っと表情を明るくし、「うんっ!」と大きく頷いて見せる。
「任せて! 桜、お兄ちゃんのためなら何だって頑張るから!」
「お、おう……ほどほどにな?」
「うん、それじゃあ桜は家事の続きをしてくるね。お兄ちゃん勉強頑張ってね! あ、それと夜食とかいる?」
「うーん……できるんだったらもらってもいいか?」
「うん、わかった。また後で来るね!」
桜はニコニコしながらそう告げると、ゆっくりとドアを閉め、一階の方へと降りて行った。
――よし。もうひと踏ん張り頑張るか……。
再び机の上に視線を戻すと、シャーペンを握りしめ、勉強に取り掛かった。
【あとがき】
SAO最近見てるけど……マザーズ・ロザリオ編まじ泣けた。ゆううううううきいいいいいいいいいいい……(T . T)
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