第13話 悩みの種
次の日の翌朝。
俺は何気ない違和感が気になり、目を覚ますと、腹の上に桜が四つん這いになっていた。
よくよく見ると、パジャマの上をはだけさせ、そこからちらっと見えるブラがなんともムラムラさせる。
目の前の光景に一瞬夢なのだろうかとも思ったのだが、桜の表情が妙に色っぽいというか……いやいや、いかんいかん! 夢だろうが妹と一線を越えるわけにはいかない!
「お兄ちゃん……」
桜はとろんとした表情のまま、だんだんと顔を近づけていく。
熱い吐息がかかり、変な気分になってしまうが、俺はどうにかして桜を跳ね除けた。
「な、ななな何してんだよ! 朝から!」
ベッドから立ち上がった俺はすぐさまに距離を取る。
桜は不思議そうな顔をしつつ、首を傾げて見せた。
「何って……夜這いだよ?」
「夜這いって……もう朝じゃねーか」
「じゃあ、朝這い?」
「……いや、そんなこと今はどうでもいい。それよりなんでまた……」
「なんでって、桜とお兄ちゃんは実の兄妹じゃないんだよ?」
「そ、それはそうなんだが……」
「なら、いいよね? 桜がお兄ちゃんのことを一人の男の子として見ても何も問題はない……違う?」
「……仰る通りです」
完全に形成逆転されてしまった。
これから先、桜が俺のことをどう思おうが勝手。
「じゃあ、続き……しよ?」
桜がベッドから立ち上がると、俺のところまで近づき、胸の中に顔を埋めた。
俺は返答に困りつつも、なんとか言葉を繋げて、桜に説明をする。
「それは……また別の話だ。俺は桜のことをまだ一人の女の子として見れない。その理由としては、まぁ、これまでが実の兄妹だとばかり思い込んでいたということが一番大きい。だからその……最低セックスとかはまだなしにしないか?」
「……なんで?」
桜が上目遣いでじっと見つめる。
「そりゃあ、やっぱり互いの気持ちが大事だろ? そのような行為は両想いになってからだ」
とは言いつつも、俺が言っていることは単なる綺麗事だ。
こんなのが通用すれば、世の中にデリヘルとかは存在しない。
「じゃあ、襲うのは?」
「それもダメだ。とにかく体の関係だけはまだだからな!」
正直、実の妹だと思っていた子が血の繋がっていない義妹だったというシチュエーションに萌えないことはない。
俺自身も義妹系のラブコメとは好きだし、憧れもした。
それが実際に起こっている現状を目の当たりにして、桜のことを好きになれるかと問われるとそこは再三言っている通り難しい。
桜は美少女だし、ルックスも完璧なんだけど……うーん。今後の悩みの種になりそうだ。
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