第8話 学校一の美少女
翌日。
今日もまた愛妹弁当をカバンの中に学校へと登校していた。
一限目から四限目まで何気なく授業を受け、昼休み。
屋上の定位置で弁当を食べているのだが……俺の隣にはなぜか美少女が座って、一緒になって弁当を食べていた。
俺はこいつを知っている……いや、そもそも知らないやつなんていないんじゃないだろうか?
雪平琴音。俺と同じ二年二組に在籍しており、黒髪のさらさらとしたロングに綺麗に整った顔。学業も俺に次いで成績学年二位と優秀でまさに才色兼備。学校一の美少女として有名である。
あ、ちなみに桜も学校一の美少女とか前に“自称”していたが、今隣にいる彼女が本物だ。
「で、なんで雪平さんが隣にいるんですか?」
俺は嫌味ったらしくそう口を開く。
すると、雪平さんは絶対零度のような視線を俺に向けた。
「あなたは……誰だったかしら?」
「そこからかよ?!」
同じクラスだよね!? あれ? 違った?
「いつも影が薄いから全然気が付かなかったわ」
「……いや、あんた俺の名前知ってるだろ」
「そうね。先ほどは失礼したわカス樹くん」
「おい。スに濁音付いてねーぞ。それだと俺がまるでカスみたいじゃねーか」
「……違うの?」
雪平さんはきょとんとした表情で小首を傾げる。
「ちげーわ! てか、だいたいなんでここにいんだよ! ここは俺の憩いの場なんだぞ?」
「あらそうなの? でも、学校は公共の場なんだけれど?」
「ぐっ……」
それを言われてしまうと、俺としても何も言い返せない。
たしかに学校は公共の場だし、誰のものでもない。
けど、雰囲気的にあるじゃん? 例えば、ここが俺たちの陣地だとかさ。
「まぁいいわ。明日から和樹くんが来なければいいだけの話だものね」
「なんでしれっと俺が追い出されてんだよ……」
俺は小さいため息をつく。
それにしてもなんでいきなりここに現れたのだろうか?
雪平さんは疑問を読み取ったかのように口を開く。
「いつも昼食場所としてたところを他の雌豚野郎に取られてしまったのよ。だからここに来た。これで何か文句ある?」
「……いや、別に。ただ雪平さんの性格といい、毒舌な感じを見る限りだと……ぼっちだろ?」
「ぼっち? 私はただ他人と共に行動することがきら――」
「あーもういいわー。それ絶対にぼっちが言うセリフだし、ソースは俺」
そう言うと、雪平さんはいかにも嫌そうな表情をする。
「あなたと一緒にしないでほしいわ。それと、別に呼び捨てでもいいわよ」
「そ、そうか……。わかった」
学校一の美少女と一緒に昼食を摂る。
文面だけ見れば、ラブコメみたいに甘い展開が待っているのかと思えば、現実はそう上手くいかない。
美少女だけど、性格はど最悪だし、毒舌だし……マジもんで顔だけいいやつっていう感じが雪平琴音だ。
たしか家系も何かの会社をしていて、大金持ちだったと噂で聞いたことがあるのだが……まぁそこまで詮索する必要はないだろう。どうせ、こいつとはあまり関わり合いがないと思うからな。
そんなこんなで少し奇妙な昼休みは五限目の予鈴と共に終わってしまった。
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