天国の君に届け
花沢祐介
天国の君に届け
天国の君に届け
今の僕を見ているかい
見ていたら笑っておくれ
「不甲斐ないね」とあの日みたいに
13時の川の土手
風が頬を撫でてゆく
柔らかく温かい風
優しい君の右手を想った
16時の街のカフェ
君がいつも頼むメニュー
ミルクの量とシュガーの量
得意じゃないよ、と独り溢した
18時の僕の部屋
服が床を埋めている
積もってゆく埃と涙
今日は「ただいま」やっと言えたよ
天国の君に届け
今も僕を見ているかい
見ていたら笑っておくれ
「あなたらしいね」とあの日みたいに
(以下は、同内容を話し言葉にしたものです)
天国の君に届け。
もしもし。君は今、僕を見てたりするのかな。もし見ていたら笑ってほしいな。何もかも上手くいかない、情けない僕を見て「不甲斐ないね」と笑い飛ばしてくれた、あの日みたいに。
今日はお昼を過ぎた頃、大体13時くらいかな。二人でよく散歩した川の土手で寝転んでみたよ。春の風が頬を撫でてきて心地よかった。風が柔らかくて温かったからかな、いつも優しく頬を撫でてくれた君の右手を思い出して、切なくなった。
夕方になって16時頃、いつものカフェにも行ったよ。君がよく頼んでたメニューを僕も頼んでみた。ミルクとシュガーは君が入れていたくらい混ぜた。やっぱり甘いものは得意じゃないから、独りだってことを再認識しちゃったけど。
孤独をやっと飲み干して18時頃、僕たちの部屋に帰ってきたよ。最近、服で床が埋まって足の踏み場が無くなってきてる。君との日々を消し去ってしまうみたいで掃除もできなくて、埃と涙ばっかり積もっていくんだ。でもね、それでもね、今日は「ただいま」ってようやく言えたよ。
もしもし。君は今も、僕を見てたりするのかな。もし見ていたら笑ってほしいな。何もかも上手くいかない、情けない僕を見て「あなたらしいね」と泣いて抱きしめてくれた、あの日みたいに。
天国の君に、届きますように。
天国の君に届け 花沢祐介 @hana_no_youni
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