第19話 八目高ハロウィン!

11月1日。

この日の八目高校は朝から異様な光景だった。まるで仮装行列、百鬼夜行である。


前回の八目高絵画コンクールに引き続き生徒会提案の行事であり、実は2回目となる今回の行事は、仮装したまま学校で過ごしても良く、この日に行われる小テストで合格点が取れたら先生からお菓子をもらえるというもの。葵たちの学年はこの行事に人気が出て、例年よりも志願者が増え倍率が高かったのだという。


「学校の中でハロウィンだなんて楽しすぎる!」

制服風のコスプレに血糊をつけ、ゾンビに扮した葵。


「この辺の学校じゃ珍しいもんね」

廃病院のナースといったいでたちのアキ。


2人は前日までに打ち合わせして、テーマを決めて来ていた。なお、葵もナースをやりたがったが、アキが色々と言いくるめてゾンビ化させた。残念である。


「古賀くんたち、どんな格好で来るんだろう。サッカー部でやるって言ってたから気になるな〜」


本当は古賀個人を見たいくせに。普段通りとはいえ少しアキに気にかけている様子の葵を見て、少し心が暖かくなる。今日は返事をもらう日。今は通常

通り振る舞おうと、アキも「そうだね」と頷いた。


件の玲はというと、メイドの姿で様子を伺っていた。2年のサッカー部の先輩のちょっとした思いつきで、プレイヤーはメイド、マネージャーは主人というテーマで仮装していた。そんななか彼は現在絶賛単独行動中。理由はもちろん…アレだ。


「古賀のやつどこ行ったんだよ」

「古賀ちゃーん!どこだー!」

細マッチョなメイドたちの自分を探している声を聞いて恥ずかしくなる。幸い今のメイドの格好は可愛い少女であり、地声もカワボであるので、まあ何とか逃げられている。


(ヤッベー…ここも移動しないと)


先輩たちの声が近づき、階段下のスペースから顔を出す。すると誰かの腹が目の前にあった。


「あ、驚かせてしまってごめんなさい」

すかさず地声(女声)を出す玲。そそくさと足早に立ち去った。


「…可愛い」


1人取り残された生徒はボソリ呟く。

その正体は郁美だった。



ややこしいな、おい。

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