第18話 2人の歩み、変わる心

放課後。アキは教室の窓際で夕陽を眺めていた。アキの作品は見事学年2位の座を手にした。自分の作品を見て驚いたような表情を浮かべた葵のことが気になって仕方がない。

小学生の時から仲である葵は時に勘の鋭さを見せる。バスケをしていたころには武器としてプレイしていたことが懐かしい。


「できれば隠し通したいけどな…」


夕陽を背に座り込む。

今までずっと親友としてそばにいた。いや、いたつもりだった。知らず知らずのうちに彼女のことを恋愛的に好きになっていた。胸の内が苦しい。今すぐに吐き出したい。でもこの関係性が崩れたらどうしよう。怖い。怖い。


「アキちゃん…?」

「!?」


いつの間にかトイレから戻ってきた葵が、教室に戻ってきていた。


「ど、ど、どうしたの?」

慌てて立ち上がり、笑顔を見せるも勘の鋭い彼女は更に不安がる。


葵はどんどんアキに近づき、アキの顔を両手で包み込む。

「やっぱり目腫れてる!アキちゃん、何かあったの?良かったら私に言って?」

葵の気遣いが心に沁みる。


「…じゃ、さ。相談に乗って欲しいんだけど」

本人を目の前にそんな事言ってみる。上手く笑えているだろうか。薄々勘づかれたのではないか。

「わかった。できる限りでいいからね」

優しく微笑む葵にアキは、胸の内を吐露し始めた。





「アキちゃん。話してくれてありがとう。

アキちゃんのこと、大切な親友だと思ってるし好きだと感じてる。でも、私の好きは友達としての好きで、恋愛的な好きは古賀くんの方が強いんだ。だから、今ここで返事はできない。」


全てを聞き終えて、しばらくして葵は今の正直な気持ちをアキに伝えた。結果は「保留」。じっくり考えたいと言って葵は先に教室を出て行った。


1人残された教室にアキは佇む。

いつの間にか日は入り、空は藍色に染まり始めていた。

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