第4話 桜色の両片想い

 玲が葵に会ったのは、やはりセンター試験の日。試験前に受験票を拾ったのがキッカケだ。


 もしかしたら試験会場である、この高校に進学するのではないのか?そう考えた玲は一縷の望みをかけて、またセンターの点数が予想よりも良かったため、自分にとっては少々レベルが高めのこの八目高校を第一志望校にすることを決めた。


 そして4月。奇跡的にこの高校に受かり、新入生としては初めて門をくぐったあの日、彼女に再び遭遇した。この時のために彼は、眼鏡からコンタクトに変え、身体を鍛えて、勉強を今までで一番頑張った。それが功を奏してか、いや、それより前から葵を一目惚れさせることに成功しているのだが、この時の彼は彼女の名前を知り得たことに満足しきっていた。やれやれ。


 出逢いと別れの時節であるこの日、二人の両片想いは今、桜色の風に乗って動き出した!

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