星空の下で

 会社からの帰り道。

 帰路を外れて、小高い丘に登る。


 立ち止まって夜空を見上げると

 そこには青い星が光っていた。


「僕は赤い星が見たかったな」

「私は黄色いお星さまが見たかったわ」


 どこからともなく

 聞こえてくる男女の声。


「この前も黄色い星が見たいって言ってなかったっけ?」

「いいえ? それはあなたが言っていたのよ」


 物事はなかなか思った通りに進まない。


 夜の世界が私たちに用意したのは

 赤でもない、黄色でもない

 青い星なのである。


「そろそろ帰ろうか。体を冷やすといけないからね」

「そうね、帰りましょう。次は赤いお星さまを見れるといいわね」


 私も帰ろう。


 夜空にはキラキラと

 青い星が輝いていた。

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