03 ひとりきり、夢の中へ
夢の中。
寝てしまったのだろうか。
結婚式。どうなったんだっけ。
かにを食べたのまでは、覚えている。サラダ。食べたっけか。
よくわかんないや。
もしかしたら。
かにが喉につまって、死んだのかな。
それでもいいや。
結婚式が終わって。
みんなが帰ったあとで、彼がひっそりとわたしのことを担いで帰ってくれるはず。
別れたけど。彼は、やさしいから。
彼は。
わたしがいなくなったら。
死んじゃうのかな。
やだな。
長生きしてほしいなあ。
死んだわたしが言うのも、おかしな話かも。
よかったのかもしれない。
これで。
このまま生きていても。
彼女は結婚して。
彼とは別れて。
からだが引き裂かれそうになる思いを、続けなくて済む。
ちょうどいい。ここで死んでいい。
いい人生だった。
最期に、彼女はいないけど、夢が見れる。
それだけでいい。
この夢と幻想のなかで。
静かに、ひっそりと、いなくなろう。
たのしかった。
後半は、つらかったけど。彼と彼女の間で、からだとこころがぐちゃぐちゃになったけど。
死ねたから、いいや。
手を伸ばせば、掴めそうな。
夢の中。
幻想が、ここにある。
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