第2話地下通路・中間地点

ある日、私はいつものように物凄く迷惑な先輩を避けて帰り道を変えて帰宅しようとした。

でも、その時に限ってその迷惑な先輩に見つかっちゃった。

ぎろりと、その先輩の目付きが変わったのを見た。ヤバイと思って、走って逃げた。

走って、走って、滅茶苦茶に角を曲がって、そうしたら私は道に迷っていたの。

後ろからは息を荒くして走ってくる先輩の気配。


怖かった。


私はすぐ近くの地下通路に走り込んだ。

そこに走り込んだのは本当に偶然よ。

まさか、あの「地下通路」に入ってしまうなんて。誰も思わないでしょ?


でも、その時は気づかないで奥の方へ走ったの。先輩が大声で私の名前を叫んでいた。

壁に反響して、すぐ横にいるみたいに聞こえた。


怖くて怖くて、私はどんどん奥へ進んだ。

そうしたら、やっと気がついたの。


出口が見えない


もう夕方を過ぎた時間で、季節は秋だったから、暗くて見えないだけかと思った。

地下通路の中も薄暗かったから。


だから、出口を目指して奥へ進んだの。


カツカツ、私の靴の音が響く。

ザッザッ、先輩の靴の音が響く。

どれくらい歩いたのかわからない。

出口は見えなかった。


私はとうとう止まった。


周りはやけに寒かった。寒いを通り越して冷たかった。

私は、もしかしてという可能性に気がついてしまった。


その時、後ろから

「つかまえた」

先輩が近づいていたことに、私は気づけなかった。

「ひ」

短い悲鳴しかあげられないまま、私は先輩に壁へ叩きつけられた。


壁が、異常に冷たかった。


息が、白く

(ざく)

先輩が、腕を引っ張って私を連れていこうとした

(ざく)

左腕を、引っ張って

(ざくざく)

こわくてこわくてこわくてこわくてこわくて

(ざくん)


次の瞬間、先輩の足は「なにか」に食いちぎられていた!


私も先輩も何が起こったのかわからなかった。

わかったのは足が

食われ


どさ


片足を失ってバランスを保てなくなった先輩の体は地面へ叩きつけられた。


そして、残った足を


ぐい


引っ張られた


「嫌だ…死にたくな、食わな、で」

顔面を真っ青にして、歯をガチガチいわせながら先輩は私の左腕を引っ張った。

タスケテ

そんな先輩の声と私の左腕ごと、そのなにかは

(ざくん)

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