第1、5話

 私は肉が抉られるような痛みを味わう。

 自然と目に涙が浮かぶ。

 肺から空気が送られ声が出る。

 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。

 そう思った。

 背中に衝撃が走る。同時に視界がグルリと回転し、天と地がわからなくなる。

 背中に生暖かい物が触れる。

 それが、自分の血液とは、わからず眠りに落ちる。

 爆発した車のガラスが腕に刺さったまま。

 気づいた時にはベットの上だった。

 そして、父は嘘をついた。私のためなのかもしれないが、そんなのしらない。

 確実に、母の頭は潰れていたのだから。

 私は思った。人間もケーキも簡単に崩れてしまう、儚いもの。

 一瞬、硬そうに見えるケーキだって、殻を割れば柔らかいスポンジがある。所詮外側なのだ。

 人間もそう。ルールと言った殻に守られ、その命を守っている。

 もし、このルールが通用しない、無法地帯な場所。そこに長時間、晒され続ければ人間はどうなってしまうのか。わからない。わかろうとはしなかった。

 しかし、皆生きようとはするだろう。長かれ短かれ、皆生きようとする。

 だから今、こんな災害時でも生きようとしている。

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