第2話 「勝負の行方と」
勝負は、無惨に私の完敗だった。
3分間、ただ何もできなかった。判定は成亮50000ポイント、私0ポイント。ここまで圧倒的に負けるとは思ってなかった。今までのように何とかなるなんて考えていた私が馬鹿だった。
完全にゲームをなめていた。
「まだ終わりじゃないからね。そもそも私このゲーム始めたの今日だし。成亮もやり方とかも教えてもくれないし、とにかくこんなんで勝ちなんて言わせないよ」
「うん、また明日も勝負ね」
私のものすごく言い訳まじりの言葉も、成亮は笑って受け入れてくれた。
それから毎日バスを待つ間勝負するようになった。成亮は全くコツとかは教えてくれないけど、負けては「また明日、勝負ね」と言ってくれた。
ゲームの戦い方などもネットで調べたし、アバターのレベル上げなども時間がある限り頑張った。
成亮45000ポイント、私500ポイント。
成亮40000ポイント、私1500ポイント。
成亮34000ポイント、私4000ポイント。
成亮30000ポイント、私10000ポイント。
確かに日に日に差は縮まってきてるけど、まだその差は3倍もある。
この戦いの鍵を握る3分間の行動で、プラスとなる行動も少しずつわかってきた。
行動は、「祈り」という回復をするもの、「集中」という攻撃力を上げるもの、「応援」という防御力を上げるもの、「舞い」というポイントが高く上がるようになるもの、「奥義」というアバターそれぞれの必殺技など様々ある。
そして、ずっと勝てずに、十五日目となった。
次第に心も折れ始めてくる。負けるってこんなに心にくるものなんだと初めて知った。
今まで挫折とかとは無縁の人生だった。
苦労などしなくても、大抵のことはうまくいった。
それがこんなに努力してるのに、勝てないのだ。
悔しいとかいうよりも、なんかうまく言えないけど、心にずしんとくる。
こんな気持ちを今まで毎回成亮は味わっていたと思うと、「成亮はメンタルどんだけ強いんだよ」と呆れる。
成亮はそもそもなんで勝負を断ることをしないのだろう。
成亮の気持ちなんて今まで考えたことなかった。
負けた側にも気持ちがあるのは当たり前なのに、私はそれを考えようとしてこなかった。
負けることで、知ることもある。
それを知れただけでも、私にとっては大きなことだ。
そして、私は今回どうしても勝たなければいけない理由がある。
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