3章 守りたい笑顔と自然の掟

三章 守りたい笑顔と自然の掟


女性「さてと、じゃあ仕掛けでも見に行こうか?」

おしりに付いた砂をパンパンと叩き落とす


少年「しかけ?」

ポカンとする少年


女性「うーんとね、

今からご飯の材料を取りに行きます」


少年「ごはん!!」

そう言って 目を輝かせる少年

と同時にお腹を鳴らし

恥ずかしそうにする


女性「アハハ、元気でよろしい

ちなみに何時から食べてない?」


少年「昨日は お父さんと食べたよ」

そう言って また顔色を暗くする


女性(暫くは応えそうだな・・・)

「じゃあコレ、食べときな」

安全だった 干し肉を渡す


少年「木のかわ?」

スンスンと匂いを嗅ぐ


女性「ノンノン、

それは干し肉と言います

決して木の皮じゃないから 覚えとく様に

作り方はまたそのうち教えてあげるね」

少し乱暴に頭を撫でる


少年「はーい♪ぐぬぬ・・・かたい・・・」

必死にガジガジと噛むが

全く噛めそうに無いので

チューチューと吸って ふやかしている


女性(何この小動物 可愛い)

思わずじっと見つめる


少年「お姉さん どうしたの?

もしかして僕がこれ食べたから

お腹すいてるの?」

見られていたことによって 気を使う少年


女性「違うよ〜ごめんごめん、

硬いから大丈夫かな って見てたの」

咄嗟に誤魔化した


少年

「ちょっとだけ、かたいけど 美味しいよ!」

そうして またチューチューと吸い直す


女性(守りたいこの笑顔)

決意を新たにした瞬間だった


そして しばらく後


女性

「この仕掛けは〜、っとダメだ

かかってないかー」


少年「お姉さん、何がダメだったの?」

まだ少しだけ残った

干し肉を大事そうに握っていた


女性

「んー?ご飯のおかず

取れてないなーってね~」

(あの食べ方・・・

きっと親御さんから

食べ物を大事にする様教わったんだね・・・)


少年「そっか・・・」

しょんぼりする 少年


ガサガサッ!!

近くの茂みから音が聞こえてきた


女性「待って、ちょっとだけ しーって

してくれる?」

ウインクしながら指を口元に当てる


少年「うん、」

笑顔で お姉さん真似っ子する少年


女性「・・・♪」

ウンウンと笑顔で頷き

無言で頭を撫でる


女性「やった!!取れてる~!!」

お手製くくり式の罠に

掛かっていたのは野兎だった


女は慣れた手つきで 足を縛り上げ

完全に逃げれることが

出来ないようにしてしまう


少年「ウサギさん食べちゃうの?」

幼い故の疑問だった


女性「うん、食べちゃうの

そうしないと

私たちが生きていけないから

優しいのは、とーってもいい事だけど

でも生きるって言うのは そういう事だから」

少年に目線を合わせ

しっかりと目を見て 真剣顔をする 女


少年「・・・よく分からないけど

大事なことなんだよね」

顔は暗いが ちゃんと女と向き合っている


女性「そう、それじゃあ帰ろっか」

笑顔で頭を撫で

手を繋ぐ


少年「うん、かえろう」

少年も笑顔を浮かべるが

やはりその笑みは少しだけ硬かった

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