2章 流れる それの温度は混じり合う
少年
「あったかいお風呂なんて久しぶり・・・
(お父さん お母さん・・・)」
世界がおかしくなる前を思い出し
少し涙ぐみ 風呂のお湯で誤魔化す
その様子を 火の調整をしながら 見つめる
女「・・・少年 もうちょい詰めて」
少年が浸かる風呂へと 足を入れ始める
少年「お姉さんも入るの!?」
突然の出来事に涙が引っ込む
女性「そりゃあ入るよー
私の風呂だし そもそも途中だったし」
そう言って 両足が風呂に浸かる
少年「じゃ、じゃあ僕でる!!」
慌てて出ようとする が
女性「良いから入ってな
まだ入ったばっかりだし
久しぶりだったんでしょ?」
出ていこうとする 少年の肩を抑える
少年「で、でもお姉さんが入れない・・・」
女性「でも 何も無い
詰めれば入れるし、そもそも私の風呂だから
少年には私に従って貰うよ」
そう言って 強引に割り込む
少年「うっ、うぅ・・・」
縮こまってしまった
女性「恥ずかしがる事ないって
毛も生え揃ってない
子供を取って食いやしないからさ(笑)」
ケラケラと笑う
少年「食べる?」
言葉の意味は分からなかったが
恥ずかしい事なのは分かり 顔を赤くする
女性
「アッハハ いっちょ前に赤くなってる(笑)」
ひとしきり笑い
真面目な顔をする
女性「で、辛い様なことを聞くけど
今までどうやって生きてきたの?
まさか一人ってことは無かったよね?」
少年「この前までは
お父さんと一緒に暮らしてた」
女性「お父さん?お母さんはどうしたの?」
少年「病気になっちゃった・・・
それからは お父さんと暮らしてたけど
お父さんも病気になって・・・」
俯き 涙を流し始める
女性
「そっか・・・辛かったね・・・頑張ったね・・・」
抱き締め 背中をポンポンと叩いてやる
少年「う、うぅ・・・(泣)」
声を抑える少年
その頭にポンと手を置く女
女性
「辛い時は我慢しなくていいから
周りなんか気にしないで
いっぱい泣けばいいからさ
恥ずかしいなら 向こうを向いててあげる」
そう言って
立ち上がって クルリと回り
少年に背中を向ける
少年「う、うわぁぁぁぁあ!!
お父さん!!お母さん!!」
女の気遣いに 涙が我慢出来ず
遂に少年の我慢が崩れ去った
少年の涙は頬から伝い
女の身体と落ち
そして 身体を伝い
風呂のお湯へと落ちて
交わっていく
涙の熱はお湯へと溶け合い
すっかり 分からなくなっていた
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