第1章 邂逅
カリカリと音を立て動く影
女性
「たっだいまー って誰も居ないけど
ん〜?なんの音?って あっ!!こら!!」
チュー!!
女性
「あっちゃー、
楽しみに取っておいた
干し肉 ネズミに齧られてる・・・」
彼女は
山にて世捨て人の様な生活を
送っていた為に 世界から
害であると判断されず
分解されなかった
生き残りである
山に居た理由は
「強くなるならやっぱり山じゃん?」
との事だった
特に鍛えている訳では無いが
思いつきだった
野生の勘とも言えるものだったのだろう
女性
「やっぱり
何か箱に入れるとか
対策しとくべきだったかなぁ・・・」
齧られた 部分を削ぎ落とし
ご飯代わりに 残りを齧る
女性
「ついてないなぁ、
とりあえず
洗濯ついでに風呂でも入りに行くか~」
溜め込んだ服を 鞄に詰め込み
近くの水場へと向かう
深い森の中
女性
「ん〜、相変わらず綺麗な場所だねぇ〜♪」
服を豪快に脱ぎ捨て 裸一貫
手作りのドラム缶風呂に入る
女性
「いっい湯だ〜な♪
風呂入ったか?はいってまーす
歯磨けよ〜、塩で磨いたよー
なーんてね♪」
上機嫌に鼻歌を歌う
女性
「それにしても、
今日も収穫なしか~
心折れちゃうな〜」
人が分解されていって半年
彼女なりに
自分と同じ様な生き残りは居ないのかと
探してはいるが 未だに出会えていない
半年ほどと言っても
生活をする為に
一日の大部分を費やすため
捜索自体は大まかなものだった
「今日は 何処探してみよう」
そんな事を考えて居た時
茂みからガサゴソと音がした
女性「んぁ?なんだまた獣か?」
風呂から出て
ククリナイフとスコップを肩に担ぐ
少年「うわぁぁん!!だれか助けて!!」
茂みから飛び出してきたのは
子供だった
女性「あ?子供?てか助けて?」
少年の すぐ後ろには
腹を空かした野犬が
今にも少年を襲おうとしていた
少年「うわぁぁぁあ!!」
女性「やばっ!!そこ動くなよ少年!!」
思い切り ククリナイフを犬に投げつけ
グサリと その頭に突き刺さる
少年「お姉さん、ありがとう(号泣)」
女性「お、おう、」
(勢いで投げたから
当たらなくてよかった
なんて言えない・・・)
少しの静寂
少年「お姉さん なんで 服きてないの?」
女性
「そりゃあ・・・よっと!!
少年が 突然現れたからね」
子供の目に触れぬ様
茂みへと犬の死体を隠し
ナイフを引き抜きながら答える
少年「わっ、ごめんなさい」
顔を赤らめながら 目線をそらす
女性「それに
子供相手に隠す必要も無いでしょ」
そう言って ケラケラ笑う
少年「もう、僕だけだと思ってた・・・」
そう言って こちらを向くが
またすぐに 目線を逸らす
女性「それ、あたしも思ったわ〜
うわぁ・・・不味そうだなぁ」
仕留めた犬を 見ながら答える
少年「どうしたの?」
女性「ん~?
あ〜、気にしなくていいよー
それと服を着てないのは
風呂入ってたから かな、
そら、そこにあるでしょ?」
死体を手慣れた手つきで埋め終えると
先程まで入っていた
ドラム缶を指さす
少年「お風呂!? ってあれ?」
首を傾げる
女性「マジか、
今の子ってドラム缶風呂知らないの?
ジェネレーションギャップ・・・」
そう言って ガクリと肩を落とす
少年「お風呂って
あったかいお湯入ってるのだもんね」
優しいが 子供らしい
雑なフォローらしきものが入る
女性「確かにお湯が入ってりゃ風呂だよね!」
少年「うん!!」
元気に返事をする
女性「風呂入ってく?」
少年「いいの!?
汗かいちゃったから
入りたい!!」
目を輝かせて 無邪気に喜ぶ少年
女性「よっしゃ、じゃあ脱げ そして入れ」
子供らしい顔に ニコリと笑う 女
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