第28話 恐怖

半目が閉じる。


もう、ダメ。意識が持たない。


私の意識はそこで途絶えた。
















私は飛び起きる様に意識が戻った。


体はまだ警戒状態。


起き上がろうとしたら激痛が走る




腕が痛い、ずきずきする。








――――――――――






そうだ、腕を折られたんだ。




私の腕が動かない。何、どうして、


嫌、いう事聞かない。




動いて私の右腕。




どうなっちゃったの。




私は自分の右腕がどうなったのかわからなくて脅えた


これ、もう一生このままなの?


使い物にならない腕になっちゃっている?




いや、そんなの嫌よ。




私は必死に右腕を動かそうとするが、全く動いてくれない




そんな私の体と葛藤した。


必死になって今の現状を否定した。




だけど、右腕は痛めど、動くことはない。


まるで死んでいるみたいに私の右腕は肩からぐったりしている。




ねぇ?あなたまで死んでしまうの?




私は痛みと共に、牢の壁で蹲った。






「ねぇ? 大丈夫? 」




2人の女の子がこちらに近づいてきた。






レベッカとアルヤだった。




「うん。なんとか 」




私は痛みの表情を笑顔で隠した。






「でも、 ……でも、


右腕が、右腕が動かなくなっちゃた」






その現実を口にしたからか、


、私の右腕はもう二度と動かないと私に実証を突き付けてしまった。




その不安と恐怖が、私に一気に襲い掛かってくる。


こんな言葉を口にしなければよかった。


次々に涙があふれ出てしまう。




2人は可哀想な目で私を見ていた。




「ティターナ」


と小さくアルヤが口にする。




「だっから言ったんだ。




そんな事するなって」






ふてくされたように座るディアンカが、話しかけてきた。




本当にそうよね。こんな事しなければ、こんな事には。






私はみじめに座る自分を見て、泣かざるを得なかった。






ディアンカの話し方を聞いて、もしかしたらディアンカなら、右腕が治る方法を知っていそうと思った。




「ねぇ、私の右腕って」




「あぁ?」




そういって、痛ましい目を向けながら、




「もう、右手が動かないんじゃ、残念だけどその腕は見るからに終わってるよ


動くことは無いと思う」




「そ、そうだよね……」




また涙が込み上がってきたから笑って見せてみた。




急いで涙を拭いた。


話を切り替えないと、大泣きして心が沈んでしまいそう。






「そ。、そうだ、


ミゲルはどうなったの? 」






ディアンカは驚いた表情をしていた






「ミゲルは、


連れていかれたわ。


どこに売られたのかわ知らないけれど」




レベッカが優しく教えてくれた。




「でも、とても、泣きじゃくって、まだあなたに罪をかぶせて逃れようと言い訳ばかりしていたけれど」




更に、私に怒りをぶつける様にレベッカは、ミゲルの最後を教えてくれた。






「お前、まだあいつの事気にかけてんの?


御人好しすぎだよ あんた」






別に気にかけている訳じゃない。


ただ、あの後がどうなったのかを知りたかっただけなんだけど。






「別に気にかけている訳じゃないわ」






「そっか。まぁ、別にいいけどさ」




「ちょっと腕見せてみて」




レベッカが、近寄ってくる




アルヤは心配そうに見て言う。




「痛いよね。可哀想」






「はぁ、ったく」


そういってディアンカまで私の方に歩いて来た。




「これは酷いわね。


肩のところからすごく赤黒くなってる


とても腫れているようで痛そう」




自分の右腕を見て、自分の体じゃないように感じた。


手も動かせないけれど、中でどうなっているのか、肩の位置が普通よりおかしいような気がしたから。


なんだか骨が突き出てきているよう。






もう、見ない様にしよう。


私の右肩は酷く刳い。


















「それよりあんた。


早くここから逃げた方がいいよ」






唐突になに?




逃げる逃げないでこんな事になったというのに、またどうしてそんなことを言うの?




「あんた、今度選別人が来たら、また、ボロボロにされちゃうよ」






とても可哀想に私を見る目




この人、私を心配してくれているの?






皆が私の方を見る。


だけど、どうすればいいの、右手は痛いし、動かない。


逃げるって言ったって、どう逃げると言うの?




私には何もできそうにない






それは周りのみんなもそうなんだと思う。


誰一人、行動したくても何もできない。






ただ、彼らの思うように事が進んでいくだけだ。




扉が開く。

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