第19話 彼女の開く道


まずい。兵士だ。



とりあえずここにいたら、隠れる場所がない。


恐る恐る扉を開けて様子を伺ったが特に兵士の気配がない。


出るなら今か。



さて、問題はここからよ。

ここの階なら外に出られる扉はいくつかあるけど、問題は、その扉を開いた先。


もし兵隊がいようものならそこで終わりだわ。

だから、なるべくなら、外側が見えない扉は使うべきではない。


とすると、


ん!


こっち側の通路は!


アーネちゃんたちとよく遊ぶお庭に繋がっている。

お庭の塀なら、何度も乗り越えているし、それにお庭なら越える先の見晴らしもばっちりだもの。


脱出ルートはお庭で決まりね。



そうと決まればこの道を抜けて早くお庭に、って前に兵士がいる。


どうしよう、この先を抜けないと。


こっちに向かってきてない?



ひき返すしかないわ。


折角ここまで来たに、だったら何処かに隠れてやり過ごしてから。


「なんだこのガキ」


え?


「嫌話して」



「なんだまだ生き残りがいたのか」


「嫌よ」


私は持っていたい鏡の破片で私を抱える兵士の腕を切りつけた。


「痛ってぇ」


「このガキ」



「きゃあああああ」


思いっきり頬をぶたれて私は吹き飛んだ。


「お前こんなガキに、酷いことすんなぁ」


「こいつが切りつけていたからだろ!


あ? なんだその目は


てめぇ」



お腹に数発の蹴りを入れられて痛みのあまり私はうずくまる事しかできなくなった。

痛い、痛いよ。

お母様。


「こいつ泣いてやがる」


「当たり前だろ。 さっさと連れていくぞ」


前髪を引っ張られ私はさらに脅された。


「てめぇ、今度またこんなことしやがったら、ただじゃおかねぇぞ


わかったか? 」


そういってもう一度頬を叩かれた。


痛い。


「わかったら、ごめんなさいだろう」


「ご、ごめんなさい゛」


「わかったらいいんだよ、このクソガキが」




こうして私は連行される事になった。


連れていかれたのはここの酒場で小隊長と言いう男の前に突き出された。



「隊長。

まだガキがいましたんで捕まえてきました。


こいつ、どうします? 」



「なんだ、嬢ちゃん。 結局捕まっちまったのかい」


スキン頭!



机に脚を乗せ、手にもったナイフをいじりながら私を見た。


「ふん。

結局逃げ切れなかった訳だ

これでよくわかっただろ?


弱い奴が何したって、状況ってのは何にも変えられねぇのさ」



くっ、悔しい。

お父様やお母様の事を言っているの?


こんな下品なやつにバカにされて、こいつに殺されるなんて。

でも、確かにこいつの言う通り何も変わらなかった。

頑張ってみたんだけど、ごめんなさい。お父様、お母様



「泣いたって何にも変わらねぇーぞ」


悔しくて、悔しくて、涙が出る。私の無力さにも。


「とりあえず、てめぇの品定めは俺じゃねぇ


あそこにぶち込んどきな。」


「はっ。」


「じきにもう来るかんな


ここの制圧も終わっちまったからな。

あいつらが来たら後は残党狩りが始まるだけよ。


良かったな今のうちに俺に捕まっていて。

お前は生きる運は強いみたいだな。

てめぇの親とは違ってな」



こいつ。私の両親を。 


何とかこいつに一発入れてやろと暴れたが、手も足も縛られている為、それすらも叶わなかった。


「嬢ちゃん。捕まるって言う選択肢は賢かったけどよぉ、

まぁ、てめぇで選択した訳ではねぇと思うが。

ここじゃおとなしくしておいた方がいいぜぇ」



今頃脅しに来たって私はもう恐れない。

殺すなら殺せばいい。

その目で睨め付けて来ようがさっき見たいに引いたりはしないわ。


そう言いたかったが、猿轡をされている私は話すこともままならず、ただもがいているようにしか見えなかった。



「おうおう、生きだけはいいな。

まぁ、そんなら身ぃもってしれや。

それもいいだろう」




そのまま地下に連れて行かれているみたい。

薄暗い階段を下に降りて行った。



そこには鉄格子が沢山あり、女の人や、メイドさん、色んな人が捕まっていた。


「おい、新入りだ入れていやれ」



「何?ここは何なの? 」



私の入れられた鉄格子には、捕まった子供たちが何人も入れられていた。

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