第18話 大切な人たちの想いを継いで




丁度お姉さまの死体の腕に躓いて転んだ私は、お姉さまを見てあの言葉を思い出した。


『ご両親の想いを無駄にしないで。

あなたを守るためにしている事なのよ。』


『あなたがするべき事は生きる事


貴女のご両親にできる恩返しはご両親が守ろうとした、その命を守る事。生き抜くことなんだからね』




私は何かに覚めるように、鏡の破片を離した。

手は切れて、血だらけになっていて、

急に手が痛み出した。



うぅっ、 ぐすっ、 私は、私はどうしたらいいの?

お姉さま。



お父様とお母様の方をみて暫く考える。

恩返しがそうと言うのであれば、私は生きるわ。


生きて、この世界を変える。誰も苦しまない様に。

それが私の目的。



ありがとうお姉さま。


私は三人と、おじさんたちの遺体を近くに並べた。


行ってきます。

今までありがとうございました。



私は鏡の破片を持ってこの部屋を去った。




辺りはとても静か。


ほとんどの部屋や廊下に死体がある。


どれもいつ動き出しても不思議じゃないから、なんだかとても気持ちわるい。


でも、ここを出ないと。


今のところ兵隊の気配もない。

でも慎重にいかなきゃ。



手が切れない様に服の布で柄を作り、護身用にしたこれが私の頼れる武器。


「よう、嬢ちゃん


まだ、生きてたのか。


おめぇ一体何もんだ?

運がいいのか、悪ぃのか」



! スキン頭の男。


やばい奴とあっちゃった。

これはまずいは。殺される。


「嬢ちゃん、

あれか? その手に持ってるもんで俺たちを殺しにでも来たか?


にしちゃー、ちょっと度胸が無さ過ぎたな」



私の前身は震えあがっていた。



「いや、お前さ、どうやって生き残ったわけ?

あの、状況下で逆にスゲーわ


なぁ、ちょっと教えてくれよ」


スキン頭が違づいてい来る



「近づくな」


私は無心で鏡の破片を横に振った。


「おぉー、怖ぇー、怖ぇー、

てめぇ、そんなもん振り回したら俺の体切れちまうじゃねぇか? 」


人を何人も殺してきた人の顔はこんなにも怖くなるのかしら?


その目で睨め付けられた私は、体すら動かせなくなった。


「ちっ、おめぇも早く捕虜んとこに連れて行ってやっからさっさと来い」



私捕まるの? 絶対いや、私はここを出るんだから。

やる気のなさそうなスキン頭の隙を見て、走って逃げた。





はぁはぁ、


怖い、怖い、怖い、捕まったら嬲り殺されるのは嫌。



でもあいつは許さない、いつか、いつか必ず、お父様とお母様の仇を…

って、あれ?


追いかけてこない?の?



まぁ、いいわ、このまま勢いで走って逃げれば。



私はレビンおじさん達と登った塔を思い出しながらそこを下っていった。


階段をすべて降り切ると何やら怪しげな作りの場所に出た。この扉を出ればたぶん外に繋がる道につながっているのだろうけど、

これ、もしかして地下につながる入口じゃないのかしら?


どうもこの部屋には何かからくりがありそう。

少し雰囲気が違うわ。

何所がどうとは言えないのだけれど。


だったら探ってみる価値はあるのかもしれない。

私は壁伝いにブロックを一つ一つ触りながら調べてみた。


これと言って、変ったものは無いわね。


ん?ちょっと待って。

このブロックだけ少し動いたような。


他にも無いのかしら?


探してみると少し横に付きの甘いブロックがあった。

これ、取れるんじゃないかしら?


私はそのブロックを抜いてい見た。


中はブロック一個分の空洞が空いているだけだった。

なんだ。つけが甘かったのか、古びて抜けちゃっているのね。


私はブロックを何とか下に戻した。



ハアッ、ハアッ、重たかったわ



後は、この押し込めそうなブロックね。

さっきよりも力を込めて押してみた。


んんっ、重い。


それでも力いっぱい押してみると


何やらカチンっと音が鳴り、床から人一人分ぐらいの入り口のようなものが出てきた。


やっぱり、ここから地下に降りれるんだわ。


にしてもすごい音。


でも困ったわね、これカギがついていて開けれそうにないわ。


鍵も見当たらない。


ここはあきらめ他がよさそう。




「おいなんだ今の音は」



「わからん。すごい音が響いたが

何処か崩れ落ちたか? 」



まずい。兵士だ。

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