第20話 囁き


「ううんん、ううううん」






貴方たち捕まったの?




そう聞きたかったが、猿轡が邪魔をしていて話せない。




一人の男の子がそれを外してくれた。


見た感じ私よりも年上の子みたいだけれど。




「ありがとう。


貴方たちちも捕まってしまったのね」




「君はもしかして、懲罰かされていたの? 」




懲罰?何のこと?




「いいえ、違うけど…


どうして? 」






「だって、体が傷だらけだから。


それ、いっぱい殴られたりしたんだろう? 」




あぁ、そっか。私の傷を見てそう思ったのね。


子供たちはみんな私の姿を見て脅えていた。






鉄格子を思いっきり棒で叩く看守




「そうだ。お前らもこうなりたくなかったら、おとなしくしていろ」






違うわ。


この子たち完全に脅えきってしまっている。






「ねぇ、私のこの傷はあいつらに連れていかれて殴られたわけじゃないわ。


ここに来るのは初めてだから。


逃げてる途中で捕まって殴られただけよ」




「そうなんだ。


僕の名前はミゲル。




君は?」




「私はティターナよ」




「ティターナ。


ねぇ、君は逃げたって。


もしかして、逃げ道をしっているの? 」




一応あると言えばあるのだけれど、確証はない。




「一応はね。でも、兵隊がいたからそこまで辿り着けなかったの」




「ねぇ、それ本当なの? 


だったら早くここから抜け出した方が良い」




「どういう事?


と言うか、あなた達はいつからここにいるの? 」




「いつから?君もこの城にいたんだよね?


だったら昨日に決まってるだろう。


変な事を聞くんだな君は。」






そう、私が気を失っていた時間は数時間の間みたいね。






「ごめんなさい。


でも、どうしてここから抜け出した方が良いの? 」






少年は少し剣枠そうな顔をした




「もうじき選別人が来るんだ」




「選別人? 」




「そう。君は奴隷と知らないの? 」




「ごめんなさい。まだちょっと知らなくて」




「そうか、選別人っているのは


俺たち捕虜にどういうことをさせるかを決める人の事だ」




まだよくわからないわね


私のその表情を見て、説明を付け加えてくれたみたい




「例えばこいつは奴隷として売り飛ばすとか、こいつここで死ぬまで靴磨きとして使うとかそんなのさ


使えそうにない奴は捨てる」




「なんか野菜売りみたいな感じかしら? 」




「うー、可愛くいったらそうだね」






「でも、捨てるってそういう事じゃない、殺されるってことだ! 」




その言葉に目の前で死んでいった人たちの光景がよみがえる。




「それに、お父さんやお母さんに会えなくなる。


売り飛ばされるってことはもう、会えることは無いんだ」








ミゲルは涙ぐみながら話していた。




「そう…」




「なんだよ、会えなくてもいいのか


俺は母ちゃんに会いたい。 


離れ離れになって知らない人にこき使われるのなんて嫌だ」






「そうね。でも私の両親は…」






「なんだ?君は両親が嫌いなのかい?


両親にひどい事されているとか? 」




「違う!


そんな人じゃないわ!」




私はつい感極まってしまった。




「なんだよ、そんなに怒らないくても」




「ごめんなさい。 私の両親は丁度昨日、私の目の前で殺されたから


とても酷い扱いをされて」




「あっ、ごめん。」




「いいの、いいのよ」




涙が出そう。




「そうだ。




なぁ脱出ルートを知っているなら、俺たちと何とかして逃げないか? 」


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