第243話 13
暗殺ギルド支部殲滅作戦は沢山の犠牲は出たが、成功で終った。
タウロ達ダンサス支部の面々は、不幸中の幸いで犠牲者が出なかったのが何よりだ。
そんなダンサスの村までの帰り道。
B-チーム『絶影』は、驚く様な移動速度で一足早く帰る中、『白夜』と『黒金の翼』は、一緒に帰途についていた。
「それにしても、お前らがここまでやるとは正直思わなかったよ。ごたごたで主力が二人抜けてから評判落ちてたからな『黒金』は。だが、新しいメンバーも優秀みたいだな!」
『白夜』のリーダーは歯に衣着せぬ物言いでタウロの背中を叩いた。
「ははは…。今の『黒金の翼』も、かなり強いですよ」
タウロは、苦笑いすると自信を持って言い切った。
『白夜』のリーダーはタウロの自信に目を丸くしたが、
「だろうな。実際お前らを目にして、噂が下の連中から流れた根拠のないものだとわかったよ」
とタウロ達『黒金の翼』の強さに太鼓判を押すのだった。
ダンサスの村に戻ると、『白夜』と、『黒金の翼』はそのまま冒険者ギルドに報告に向かった。
ギルド内では、この珍しいというか有り得ない組み合わせに他の冒険者達の目を引いた。
そんな中、クロエが支部長室にこの2チームを案内して室内に消えていく。
「…どういう組み合わせだあれ」
「そう言えばここ数日姿を見かけなかったが」
「Bランク帯チームとEランク帯チーム、それも落ち目の『黒金』…、意味が分からん」
「普通に考えたら『白夜』のサポートに荷物持ちのタウロが選ばれた感じじゃねぇか?」
「ああ、それなら納得…、いや、『白夜』の連中はマジック収納付きの鞄持ってるだろ。理由にならねぇよ」
「じゃあ、偶然か」
「偶然なら、一緒に支部長室に行くかよ!」
居合わせた冒険者達が愚にも付かない憶測を言い合ってる間、支部長室では報告が行われた。
「──という事で、今回のクエストは完了しました」
タウロが報告を終えるとそれを聞いたクロエはため息を吐くと、
「『絶影』からも報告は受けているけど、本当にタウロ君達ごめんなさい。そんな危険な事になってたなんて…、Eランク帯のあなた達を行かせて悪かったわ…」
クロエは謝罪すると反省を口にした。
「いえ、僕達が報告しなくてはいけない状況でしたし、今回の事はチームリーダーの僕の判断で行った事なのでクロエさんは悪くないですよ」
「そうだぜ。それに何度も言うが、こいつら『黒金』はよくやってくれたよ。あの現場にいたみんなの命の恩人だ。支部長、俺はこのチームの昇格を推薦する。Eランク帯でくすぶらせるチームじゃない」
『白夜』のリーダーは自信を持って昇格を推薦した。
「先に報告してくれた『絶影』のみんなも同じ事を言ってたわ。…そうねぇ。ここのところ前例のない昇格をアンクさんとラグーネちゃんはしたばかりだから急には無理だけど考えておくわ」
クロエとしては他の冒険者との兼ね合いもある。
タウロ達の実績を知らない他の冒険者達にしてみれば、とんとん拍子の昇格をしているアンク達を贔屓にしていると思われたらダンサス支部の信用にもかかわる。
クロエとしては難しい判断どころであった。
数日後。
タウロ達一行がいつも通り、クエストから戻って受付で完了報告をしていると、支部長室からクロエが出て来て、支部長室にタウロ達を呼び入れた。
「…はぁ。…えっと。色々と私のところにみんなの昇格の推薦があったから、4人ともD-に昇格して貰うわね。ラグーネちゃんはEランクから二ランクアップだけど、受けてくれるわよね?」
クロエは、大きくため息を吐くと、そう聞いて来た。
「え?先日、急には無理だって言ってましたよね?」
「そうなんだけどね?A-チームの『金の
それはつまり、実力で昇格した事を言えないので、トラブルの元になりそうではあった。
だが、理由はどうあれ、これでみんな揃ってDランク帯への昇格だ。
ラグーネは、やっとみんなに追い付いた事に喜び、エアリスはエアリスで目標の1つであったDランク帯に思っていたより短い期間でなれた事に喜んだ。
アンクは冒険者としてまだ短いので、その凄さがわかっていないのか、「みんな良かったな!」と笑っている。
そんなみんなを見てタウロも喜んだ。
アンクとラグーネは異常な速さでの昇格だが、その実力は本物だ。
それが証明されたとタウロは満足するのであった。
そして、偶然だが、この日はタウロの13歳の誕生日でもあった。
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