第二十話 鬼ばかり

「さっきから何話してんだ? ホフマンさんもう車に戻っちゃったぞ」


後ろから若干耳障りな声がする。烏丸だ。


「えっもう?早いな……人見知りなのかな」


「あっ! お兄さんも如何ですか?」


「えっ?」「ゲキド剣———」


「退け、よッ!」「うわぁっ!」


ソラの背後から突然2m近い二人組の大男が現れた。


「何だお前か。いちいち話しかけてるけどよォ、お前そんなに余裕ねェだろ?」

「まーせいぜい頑張れよっ!お坊っちゃん!」


「う、うるせぇ……!」


「はははははっ」


「……ん? 見ねェ顔だなァ……。支朝のドラ息子か?」


「あ、冒険者のギルドから出てます。」


「ハッ! 冒険者ぁ…?若いのにそんなゴミ以下の職業か。せいぜい頑張れよっ!」


そう言うと大男の片割れは勢い良く肩を叩く。


昔あの坊主頭の男の仲間によくされた挨拶を思い出し、不思議と懐かしさを感じる。

あの男はやって行けているのだろうか。


「所で……貴方もゲキドの道場から来たんですか?」


「はぁ?ちげーよ。俺のこの辺りの農業ギルドだよ!族長のゴードンとは俺の事よォ……!」


知らんな…。その農業ギルドも族長も知らんな…。


「じゃあそちらのお連れさんはパーシーさんですか?」


「はぁ〜?ちげーし!俺の名前はトーマス!トーマス・ベルクだよ!」


「マジですか……?!」


「クソ職業のお前でもこののクソガキにゃあぜって負けねえだろうよ!」

「まッ!頑張れよ、ソラ君!そのお粗末な剣でどうやるかは知らねーけど!」


トーマスとゴードンはそのまま今日の鍛錬を終えたのか何処かに行ってしまった。


「クソッ!ゼッテー見返してやる!」


「なんだあいつ……。」






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