走る人
Rosso
走る人
振り返らずに走る人がいる。
物凄く速いスピードで脇目も振らず真っ直ぐに駆け抜けていく人がいる。
見落とすものを恐れないで走る人。
誰かを置いていくことを決意して走る人。
誰も必要としないで、何も必要としないで、命を燃やして走る人は、とても強い人だと思う。
とても気高く悲しく強く儚い人だと思う。
後ろを振り返りながら走る人がいる。
時々立ち止まって不安そうに後ろを振り返り、確認しながらゆっくり進む人がいる。
取りこぼしを恐れながら走る人。
誰かを置いていく独りぼっちを怖がりながら走る人。
何かが握った拳の指の間から零れ落ちるのを悲しみながら走る人は、とても弱い人だと思う。
とても優しく愚かで弱くしなやかな人だと思う。
どっちがいいのでもない。
どっちが悪いのでもない。
途中歩いている人もいて、それを追い抜く人もいて、それに絶望して立ち止まることもあったり、奮起して走り出す人もいて。
だから貴方は貴方のスピードでいい。
走ろう。
後ろ向きになってしゃがみこんで泣いてもいいから。
後ろ向きのまま走るのも一興だろう。
前を向いて元気よく走るだけが走り方じゃないと、誰もが知る時が来ればいい。
走れ、走れ、走れ。
貴方の走る姿が、誰かの目に映るように。
走る人 Rosso @Rosso58
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます