「スマブラ」
……続きまして………代表の……苦郎様による……です。
パチパチとお上品な拍手(?)が聞こえミナミに背中を押される、暗幕の裏から見ていたが見目麗しい少女達がお行儀よく座っていた。二階にはテレビで見た事あるような無いようなおっさん達が。こんな大勢の前に出るなんて特技の乳首テイスティング・in・朝食当ての確率統計を後1人で終わろうとした時武装した警察に包囲された時以来だ、あの時はよく逃げられたものだと我ながら感心する。
「なにボーっとしてるんですか!早く行きなさい!」
「あいて!」
足を踏むな足を、イカせんべいみたいになったらどうするでゲソ。なんてくだらない事は置いておき覚 悟 完 了して檀上へ、ぐっ。やはり圧がすごい圧が。ここは勘違いした中小ビジネス企業の面接か。
もう知らんここで引いたら恋恋慕家長男の名がすたる、男を見せろ。アベシンってそれはまずいって。できるできる俺はできる帰ったら絶対ミナミに背中流してもらう。深呼吸をしマイクへ口を近づける。
「ちんk、じゃない。こんにちは皆さん俺の名前は恋恋慕蠱毒苦郎、突然ですが皆さんにはこれからデスゲームをしてもらいます。なにか質問は?」
ざわめき立つ会場、ミナミと教師陣がものすごい顔で暗幕からこちらを見ている。すぐ様降ろされるかと思ったが何故手を出して来ないのだろう、まあならば俺のエンペラータイムというものだ。
「はい!」
「玲子様?」
「玲子様だわ…」
「流石凛としていらっしゃる…」
「なんて勇気のあるお方…」
さらりと流れる黒髪、ややたれ目に吸い込まれるような瞳。可愛らしいピンクの唇をした神々しいオーラを放つお嬢様その1が手を挙げ立ち上がった。有耶無耶にして立ち去ろうとしたのに…/(^o^)\
「はい、そこの4話で本性表して主人公を殺すという独断専行をしようとしたが同種の無口眼鏡っ娘に妨害され情報連結を解除される対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェース似のお嬢様、どうぞ」
「…?あの、では失礼ながら……ですげえむとは…一体何でございましょうか…知識不足ですみません」
特に何も考えず言った言葉を説明するのはなんとも恥ずかしいしちゃんと説明するのは流石に過激だろう、適当に流すか。
「庶民の間で流行っている犬の名前でございます。それでは皆様ご清聴ありがとうございました宜しければ高評価チャンネル登録お願いします」
すたこらと元の暗幕の裏へ戻る、一層大きくなるざわめき。本日最大の山場終了である。エイドリアーン!!『え、えーでは次の…
「なにやってんですか!」
「うぼぎゃぐごがぎえ!!!」
体中の穴という穴を刺突されとどめに顎を揺らされる。最近こんなんばっかりだなと薄れゆく意識の中思うのだった。
…相変わらず君は浮上げ後の追撃が下手だな、素晴らしい反応速度を持っているのに空間把握は苦手と見える」
「いいんだよ、別に。俺のベヨネッタは地上最強のタンクタンクタンクなんだ、次着地した時がお前のぱらいそだぜ」
「弱点を克服しようとしないのは君の短所だ。いい加減真面目に練習したまえ、確かに大幅に弱体化した空後だが反復練習でマシにはなるだろう。そのままでは私に先をこされてしまうんじゃないかな?」
クソっ、腹立つ顔だ。歩きながら肘を当てられ入力昇竜で撃墜される。姑息かつ器用なことを。
「へん。いつかな、いつか。にしてもリュウなんてムキムキ筋肉ダルマなんて使ってるやつに俺の美学は分からんね。そもそも上強の肘当て根元に決まっただけで昇竜拳フィニッシュ決めるお手軽脳死に言われる筋合いはない」
「その喧嘩買うぞ!なーにがベヨネッタだ!体目当てで選んだだけの癖に美学なんてちゃんちゃらおかしいわ!お前いっつも横B始動コンボすらたまに失敗するじゃないか!毎度毎度ダメージは稼ぐが撃墜に手間取っているのは見てて中々滑稽だなぁ!?」
「はああ!?お前いつも言ってるけどすぐ崩れるデータキャラっぽい敬語やめちまえ似合ってねえよ!大体いつもいつもお前はそうだ!男の娘だってまずは過程がだの心情がだの言ってたじゃねえか!データと性能から入るお前には結局どのキャラも記号にしか見えてないんだろ!?スマブラなんて似合わねえよ、一生テトリスでもやってろ!」
「テトリスならこの前やってお前がボロボロに負けたあと『こんなゲームばっかりやってたら脳が凝り固まっちまうぜ』って難癖付けて逃げたじゃん」
「くっ言ったな!口封じしてやる!喰らえ飛天御剣流!天翔龍の
「金的!」
「あぐう!?」
己の息子を虐待され地に膝をつく。インポになったらどうする。くそうくそう、こんなやつ来世はひじきになって海の底で誰にも観測されず一生を終えればいいのに………
……ら、ほら。起きてください、いつまでおねんねしてるんですか。もうそろそろ帰りますよ」
揺さぶられ起きる。また悪夢を、最近よく見る気がする。何かの暗示な気がしてちょっとこわい。
「おそようございます、もう皆さん下校しましたよ」
「おん、おはようございます。お前が眠らせたんだけどな」
さっきの楽屋っぽい所のソファに寝かされていた。離れたミナミは市松人形のような顔でこちらを見返してくる。
「はあ、散々でしたよあの後は。カンカンに怒ったり青ざめていた先生方から貴方をロッカーに押し込んで隠したり「オイ」何故かストップをかけなかった院長はニコニコしながら大富豪のクレーム対処してたりてんやわんやだったんですから」
「すまんな」
「すまんなじゃないですよ、なんなんですかデスゲームって。そんな犬の名前聞いた事ありませんよ」
「もういいだろそこは。下校したって言ってたな?帰ろうぜ〜腹減ったよミナミママの美味しい晩御飯食べたいよ〜」
「誰がママですか誰が。まったく、調子のいい事ばっかりいつも言って…お肉とお魚どっちがいいですか?」
「おさかな」
「じゃ、帰りに商店街にでも寄りましょうか。駅に戻ればあるでしょう。貴方は基本的に阿呆ですが食事の時は見ていて気持ちがいいのでこちらも作り甲斐がありますよ」
「ワーイ!」
ヤバい、今かなり幸せである。謎の収入に謎の女の子、謎の学校に通うハメになったと謎だらけだが一日の終わりに女の子の美味しい手料理を食べられる。なんだかんだ大概の事に許してくれそうだしそろそろお風呂も一緒に入って距離を詰めるべきかもしれない、決戦は今夜。今がその時なのだ。
「入れませんからね」
なんも言っとらんわ。テレパシーでも持ってるのか?
仲良く食材を買った帰りしな、
「そうだ、今の内に活動資金を渡して起きますね」
と、封筒を渡された。10万入っている。なんなんだこれで童貞でも捨ててきて予行練習でもしろと?
「確かに渡しましたからね。無茶なことを可哀想だとは思いますが頑張ってください」
「何言ってんだ、なんだよこの金」
「そっちこそ何言ってるんですか、やっぱり話聞いてないじゃないですか。一ヶ月以内に庶民的かつ社交性の身につく教育にいい文化を当校にもたらせるように。出来なかったら退学のち学校から私の家へ連絡が入り金銭的支援も打ち切られるって」
初耳だ。そんな事を一ヶ月以内とか本気で言っているのだろうか、てか支援お前ん家からかよ。
「無理に決まってるだろなんだよ庶民的かつ社交的って、リアル鬼ごっことか?」
「舐めてるんですか?お嬢様を転ばせてでも見なさい。直ぐにあなたの首が地面を転がりますよ。軍資金はそれだけなのでとにかく頑張ってください」
無茶だ、できるわけが無い。今すぐこの金でパラオにでも飛んでしまおうか。
…………ふと、一つだけ思いついた。最近夢でよく見る忌々しいアレ。社交的かつ公平平等な庶民的文化を。同時に口にするのもはばかられる黒歴史まで記憶の底から叩き起される。
「…何か怖い顔になってますよ?大丈夫ですか?私も少し手伝いますから……」
いい娘だ。やはり何としても結婚するしかない。じゃない手放す訳にはいかない。手段なんて選んでる場合では無いのかもしれない。つまらない過去なんて俺には合わないぜ、それに…
「あっ今度はいつもの悪い顔に。忙しい人ですね」
あれに魂を燃やすお嬢様の姿を是非見てみたい。
「家電量販店に行くぞ。ゲームショップでもいいけど多分中古しかないだろうし」
「いいですけど…もう思いついたんですか?一体何を…」
ああ、とびきり最高のヤツをな。へへへ……俺にこんな役を負わせたことを後悔するんだな!
「帰ったらお前にもやらせるからな、練習だ練習。やった事ないだろ」
「だから何をですか」
「スマブラ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます