第2話

「おはよう。」


「おはよう、香菜!昨日先輩とはどうだった?」


「どうもなにも…連絡した通りだよ。」


「あ、そうだ。思ったんだけど、ちゃんと解決策考えないとね。先生に相談するなり、さ。」


「そうだよね…放っておいて解決できるならそれがいいけど。先生に言うほど大事にはしたくないかな…」


「うんうん。よし、今日の放課後、作戦会議ね!伊吹先輩も暇かな?」


「帰宅部って言ってたし多分?」


「じゃあ香菜、連絡しといてね!」


先輩に連絡する口実ができて実は少し嬉しいなんて不謹慎かな。先輩には迷惑をかけているのに。


「あ、伊吹先輩大丈夫だって。」


「良かった!とにかく今日も、視線感じたらおしえるんだよ。」


「うん、わかった。」


その日はお昼休みに視線を感じた。でも怪しい人を見つけることは出来なかった。


そして放課後、私たちは空き教室で作戦会議をすることになった。


「あ、先輩!わざわざありがとうございます。」



「特にすること無かったし、大丈夫だよ。それで、作戦会議だっけ?」


「はい、どうすれば解決出来るかなって…ずっと伊吹先輩に頼りっぱなしにもいかないし、1人でいるだとか、やっぱり怖いので…」


「うーん…どういうのがいいかな。」


「香菜はあんまり大事にしたくないんだもんね?」


「うん、ただのわがままだけど…」


「あ、1個思いついた。」


「なんですか?」


「学校で視線を感じた時に、まずは僕にすぐ連絡して。それで、僕がすぐに迎える場所だった時は、香菜ちゃんはあまり人気の無い方に向かっていこう。あくまで気づいていない体で。そうしたら僕が、捕まえる。結構危ないんだけど…」


「…私、それでやります。伊吹先輩がそこまでしてくれるのに、私が怖がってたら何も変わらないし。」


正直、怖くないといえば嘘じゃない。ただ他の作戦も思いつかないし、伊吹先輩の考えを無駄にしたくない。


「せめて、私が一緒にいる時にしよう。」


「そうだね。万理華ちゃんがいる時で人気の無い方に向かい始めるのは、僕が近くについて香菜ちゃん達を見つけてから。難しいし、危なくなっちゃう作戦でごめんね。」


「いえ!むしろ伊吹先輩まで危険な目に合わせちゃう…」


「それはいいんだよ。じゃあ早速明日から、実行しよう。」


「はい!」


そのまま私たちは空き教室を後にした。


「じゃあまた明日!」


万理華と別れた後は2回目の2人きりの時間。昨日と変わらず緊張していた。それでも、昨日よりは上手く喋れてる…気がする。


「香菜ちゃん?家ついたよ?」


「あ、すいません!ちょっとぼーっとしてました。」


「疲れちゃうよね。しょうがないよ、なるべくはやく、解決できるように頑張るから。」


「ありがとうございます…それじゃあまた。」


「うん、ばいばい。」


もし、明日作戦が成功すれば先輩と帰るのは今日が最後だったのか…もっと沢山話しておけばよかった。緊張なんてしてる場合じゃないよ…


先輩と一緒に帰りたい気持ちはあるけど、先輩の放課後をいつまでも付き合わせられない。はやく、問題を解決しちゃわないと。それも、先輩の力を借りることになるんだけど。


先輩には助けられてばかりだった。

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