第3話 トークショー
今日は彼女のトークショー。彼女は作家で、僕はそんな彼女の名もなきファンの一人だ。この部屋の中にいる人達もまた、彼女のファンで間違いない。
二十人くらいの男女が半々、それぞれ等間隔に距離を開けた椅子に座っている。僕の席の斜め前にモニターが設置されているから、きっと彼女にもこちら側が見えていることだろう。
実際に、彼女は僕達のことを一人でも多く確認しようとするかのように目を凝らしてこちらを見つめている。彼女は司会に話を振られるその間際、ちらりと出した舌で上唇を舐めて、おもむろに下唇を噛み締めた後、口角をキュッと上げて可愛らしい笑顔を浮かべた。そして穏やかな口調で話し出す。
その瞬間、僕はドキリとした。見た目以上に若々しく、凛とした声だったからだ。彼女の声が部屋に響いて、僕の胸はざわざわとして落ち着かなくなった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます