第2話 よそゆきの彼女

 司会が喋り出した瞬間、ハウリングが起きて彼女は少しだけ顔を顰(しか)めた。慌てた司会が機械を調整している間、部屋の中の大きな画面に大映しになっている彼女はすぐにすました顔に戻り、それから少し顎(あご)を引いて口角を上げた。改めて、こちらに向かって目を細めてみせる。

『……よそゆきの顔だ』

 僕は心の中でつぶやいた。機械の調整が終わり、司会が仕切り直して彼女を紹介する。その間、彼女は黙って、時折うなづきながら、画面越しにこちらを見つめている。

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