Distance

瑞原えりか

第1話 間違いの恋

 今日、僕は好きな人に会った。でも、会ったと言っても、それは画面越しで、僕は単にその他大勢の観客の中の一人としてだった。

 そもそも彼女は僕の存在を知らない。彼女のこの世界への貢献度、社会的地位、名誉に比べたら、僕は存在していないに等しい。僕と彼女との間には埋めようがない距離がある。

 それなのに、もしも僕がこれを「本気の恋」だと言うのなら、それはきっと「間違いの恋」になってしまうのかもしれない。

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