おやすみの時間
──とん。
ももはさくらを抱きしめて、体育館に敷かれた布団の上に現れると、さくらの頭を撫でた。
「さあ、おやすみ」
「うん、おやすみ」
「お姉ちゃんは帰るね」
「はーい」
ふわ……軽くあくびをするとタオルケットにくるまって寝てしまった。
そして、ももは姿を消した。
──シュパッ!
── ── ── ──
境内で盗っ人三人衆はちびりそうだ。
信じられない光景を目にして、震えが止まらない。
マックの手裏剣も親分の頬に当てられたままだ。
その親分に、影の氏子衆総隊長はじりじり近寄ると鋭い視線を投げかけた。
「その目でしかと見たか? 」
「あ、あい、ああああああ」
「これが鬼王様の力だ、この町は鬼王様が護っておられる」
「………」
「ワシらはその守護のもと、400年もの間この町を護ってきた、影の氏子衆の末裔じゃ、お主らご存知か? 」
『いいいいい………えええええ………』
三人衆は声が揃った。
「お主らに鬼王様の教えを一つ聞かせてやろう、悪人も人の子、1度目は出来心だ逃してやれ、二度目はとことんやり込めろ、三度はないぞ…だ」
影の氏子衆総隊長のごんちゃんの眼光が鋭く光った。
と、マックの手裏剣がさらに強く頬に押された。
「&\%#{#%^?><#!」びびりまくる親分。
「二度と悪さをするな、子どもたちにも一才手を出すな、二度目は鬼王様も手加減しないぞ、心しとけ」
「は、はい、分かりましたぁ」
「隊長放してやれ」
「了解、解放! 」大声でマックがそういうと、羽交い締めしていた手を放し、三名を解放した。
『ひぇぇぇ』
盗っ人三人衆は、蛍光塗料を月明かりにテカテカさせながら、けんもほろろに境内から出て言った。
「……」
五人は無言でその後ろ姿を見つめていたが、総隊長が声を発した。
「これにて、散開」
影の氏子衆は、音もなくその場から四方八方に走り去った。
そして、満月が煌々と境内を照らし、木々が何事もなくざわつき、元の静かな境内に戻ったのだった。
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