5
「泥棒だよ!! 捕まえて!!」
そんな声を出したのは小さな影を追いかけている二つの小さな影の一つである黒髪の魔法使いの女の子マグだった。
「マグちゃん。どうしましょう? あの子、思ったよりもすばしっこいし足速いですよ。このままだっときっと私たち、追いつくことができません」と息を切らせて走っているマグの横を魔法の杖に乗って飛びながらついてきている二つの小さな影の一つである髪を三つ編みにしている眼鏡の魔法使いの女の子、パステルがそう言った。
「じゃあ、パステルの杖貸してよ。私が飛んで捕まえるから」マグは言う。
「えー。嫌ですよ。そうしたら私が走らなきゃならなくなるじゃないですか」とパステルは言う。
「なら、パステルが先に行ってあの子を捕まえてよ」マグは言う。
「私じゃあの子は捕まえられませんよ」にっこりと笑ってパステルは言う。
本来魔法使いは自分の魔法の杖を手放したりはしないのだけど、今、マグはなぜか自分の魔法の杖を持っていなかった。
実際にはついさっきまで持ってはいたのだけど、今は持っていなかった。
その理由は簡単で今『マグとパステルの二人が追いかけている小さな子がマグの魔法使いの杖を盗んだ』からだった。
どうしてそんなことをするのか、理由はよくわからなかったけど、とにかく盗まれた杖を取り返さなければいけない。
マグは友達のパステルと一緒に自分は地面の上を全力で走って、泥棒の小さな子を追いかけているのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます