学祭前のトラブル 二一

「―くん、耀くんっ」


耀はぼっとしていた。

それは紅天のことを千鶴から聞いてからだった。


「具合悪いのですか…?」

「ううん、大丈夫」


耀の心情声は眠いなぁと思う彼。そしてなにかを隠しているように見えた。



迫る学祭に料理担当班は器具の動作チェックと買い出しをしに行く予定だった。前日に買わなくてはいけない生もの以外のほとんどは先に買いにいく。


紅天が耀に声をかけようとしたときにはぐっすりと机の上で寝入っていた。


確かに眠そうな顔してましたもんね。


そっと耀の背中に自分の制服のジャケットをかけて微笑んだ。


「ゆっくり休んでくださいね」

「紅天。行けるわよ」


きりっとし堂々と歩いて行ける宣言しているが、彼女は買い物を一任されている料理担当班ではなく、教室をリメイクする飾り担当班であった。


「はい!槇ちゃん本当に班離れて大丈夫ですかっ?」

「ええもちろん。だって人数と役割の割合が比例してないんですもの」


きりっとクールに了承を頂くとはさすが槇ちゃんですっ!


そういえば、他の皆さんもここ数日はずっとこんな感じです。私に何かを隠し、そして読まれないように避けていらっしゃるようなのですが…。


紅天は思った。皆が元気がなく紅天と距離をとっていることに。人一倍そういうのに関しては敏感だった。


そして様子が変わるその前頃に千鶴が紅天の携帯を見つけてくれたはいいが見つけたときには既に壊れていたらしく、修理しておくと言った。

紅天の携帯の代わりに千鶴のスマホを渡したことに違和感を覚えていた。


「…もしかして――」


あの携帯が関係してる…?


「あら紅天、悩み事でもあるの?」

「い、いえ!行きましょう!」


美紗緒が心配と疑問を抱く中、紅天はその答えをはぐらかした。


まだ学祭で落ち着いていませんし、落ち着いたら喜織ちゃんと槇ちゃんに話しましょう。

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