学祭前のトラブル 一七

「でもどうすんの。あの子心読めるんでしょ」

「ああああ、なんて面倒くさい能力持ちだ!」


そうだったと頭を抱え込む琥珀にそんな姿を物珍しそうに携帯で写真を撮った。


「おい、てめぇなに人様が悩んでるときにけらけらと笑って写真撮ってんだよ!ああ?」

「ごめんって〜。物珍しいし写真に納めとこうと思ってさ」

「二人が話してるなんて珍しいね。なに、空颯に毒でも盛るつもり?」

「相変わらずブレないねぇ」


家に帰ってきたのは違うクラスにいるジョウと優鶴だった。

へへへと笑うジョウと二人きりで話す琥珀と耀を見てぎょっとして逃げ出そうとする優鶴。そんな二人も紅天のこととなったら真剣に耳を傾けるのだった。


「千鶴とあいつは」

「空颯なら今くらいに帰ってるところじゃない?千鶴は知らなーい」

「…両方ともタイミング悪ぃな」


イライラし舌打ちする琥珀を見て二人はそんなにも紅天のことで重要な話なのかと少しドキドキと心拍が高まったことを実感する。


「でも今言っていいわけ?さっきも言ったけどあの子は心を読める。今二人に言ってあの子に隠し通せる?」

「めっちゃ気になる!!」

「…その内容にもよる」


がっつくジョウと恐れ引き気味な優鶴をみてまあなんとかなるかと耀は話す。


「てめ、まさか今話す気じゃないよな?!」

「うん。どうせあの子以外は知るんだし今話した方がこの二人は呑み込みが遅いから効率がいい」


二人はディスられてることは後で根に持とうと思いながら話を聞いた。


「…琥珀の予知が今まで当たらなかったことはない。だからきっと本当なんだね」

「何回も電話って随分とねちっこい。本当に身内なわけ?」

「分からない。わかることは男で十代から二十代ではないってこととあいつを連れ帰りたいと言っている。それだけだ」


二人もこの緊張漂う空気に息を呑んだ。

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