学祭前のトラブル 一六
「っ…ありがとう」
気づけば紅天は抱き寄せられていた。
「へっ…?!」
当然、男免疫ゼロ恋愛経験ゼロな彼女はじたばたと焦るのだった。だが、涙した彼を見て彼女は
「これからは辛いこと、苦しいことも楽しいとき、嬉しいとき。沢山わけあいたいです」
「うん…」
捜し始めたのが下校十五分前くらいだったためあの話の後、先生に帰れと学校を追い出された。
「家にあるといいんだけどね」
「本当ですね」
あはははとあの後互いに色々柄じゃない言動を取りすぎた結果、恥ずかしすぎて話すに話せなかった。穴があったら入りたいというのはこういうことである。
(ど、どうしましょう…。仲直りはできましたがさっきの記憶が脳内再生されて上手く喋れませんっ…)
(待って俺、思わず抱きしめちゃったけど大丈夫か?訴えられないか…?)
空颯もモテるわりに純粋で恋愛経験がなかったのであった。
「…あの、さ」
「は、はい!」
もしかして私が言った前の言葉に対しての不満ですかね?!仲直りしていたと勝手に思っていましたが違ったんですかね!?
紅天は今から言われることを想像した。
「おい。あのときよく偉そうに口利いてくれたな。このドブスが」
紅天の想像の中での空颯はかなり荒かった。そして、親指を下に向けていた。
っ…そんな…、ごめんなさい。
言ってもいない傍から紅天は心の中で謝り落ち込んだ。
「―今更なんだけど、名前呼び…してもいいかな?」
紅天はの目の色は変わり輝いた。
「もちろんです!」と食い気味で即答した。
空颯からまさかそんなことを言われるとは思っていなかったからとても嬉しかったのだった。
そして彼は迷っていた。
(…名前呼びはいいけどちゃん付けるべき?キモいか。それとも呼び捨て?いやさすがに馴れ馴れしすぎだろ…)
「私はいきなり呼び捨てはキツいので空颯くんでお願いしますっ!」
空颯はその包み込むような笑顔を見たら、自分が呼び名を考えてることなんてどうでもよくなってきた。
「分かった。紅天ちゃん」
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