学祭前のトラブル 一三

「どうせ深く考えるんだろうなぁー」

「ああ?」


学校の授業が終わり放課後。クラスの半数以上は放課後は学祭や部活動で残る中、いち早く家に帰った耀と琥珀。


普段はそれぞれ帰る時間帯がバラけることもあり、わざわざ待って一緒に帰る程仲が良いというわけでもなかった。

だが、今日は帰る家はもちろんのこと時間帯も一緒だったため嫌々ながら一緒に下校した。


「あの子と空颯とのこと」

「ちっ、やっぱりあいつ嘘ついてやがったのか」

「その場ではそういうしかなかったんじゃないの。場所考えたわけ?」

「………」


確かにクラスの中での話だったし当然クラスメイトもいたので話しづらい場であったことは否定できなかった。


「お前はなんで知ってんだよ!」

「なんでそんなにイライラしてるの」

「いつもだろ、あぁん?」

「なんで自己じこ肯定こうていして逆ギレちゃうわけ。もっとカルシウムとりなよ」

「っ…うるせぇ!!」

「まあでも。あの子が自分から俺に言ったわけじゃないよ」

「…そうかよ」


居間で話す二人。あまり会話を交わさずやってきた二人がこの場において二人きりという状況だった。

空颯や紅天、ここに共に住む三人を含めて話すことがほとんどだった。

当然、話は詰まり気まずい状況におちいる。


(こいつと二人とか気まずいだろ?!)

(空颯と二人きりはなったことあるけど琥珀とはなかったから何話していいかわからない)


気まずい中、机の上にあるリモコンの横にあったスマホが鳴り響いた。


「あいつ…、今日携帯忘れていったのかよ」

「……非通知?」

「っ…これ、なんか危なくねぇか?」


鳴り止むまで少し待つが、一向に鳴り止まず止まっては鳴りの繰り返しだった。


「…まさかストーカーじゃねえよな?」

「…その可能性、ありじゃない?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る