学祭前のトラブル 一一
学校祭準備が本格的に始まり、一週間が経つ。日にちが刻々と過ぎていく一方で、紅天と空颯はまだ仲直りをできないでいた。
お互い気にはするものの遠ざかり、見えないところで双方が気づかないときに互いの後ろ姿を見る一方であった。
「おい。お前と…あいつ、なんかあったのかよ」
あいつと言い空颯のことを視線で指した。
琥珀に訊かれ、紅天は内心びっくりはするものの、平然と普通を
「え、なにもないですよ!」
「…そうか」
琥珀さん、心配してくれたのに嘘をついてごめんなさい…。
琥珀だけが気づいたわけではなかった。美紗緒と喜織も気づいて気にはしていた。
だが、言ってくれるまで待とう、二人で見守ろうと決めていた。
どう考えても今までの空颯と紅天の距離感の違いにクラスの大抵は違和感を覚えていた。
一方で空颯ファンの女子たちは大喜びをしていた。
「ねえ。空颯とまだ仲直りできてないの?」
耀と紅天は文化祭準備で飾り付けとスイーツ作り担当となった。
「そうなんです…。謝るタイミング中々なくて、って言い訳ですね」
「ふーん…」
「…本当はなんて謝っていいのか分からないのです。なぜあのときもっと落ち着いて話せなかったのか私自身分からないのです」
「まあ確かにあんたにしては珍しいけど、でもそれって今考える必要あるの」
「っ…」
「謝りたいなら謝ればいいんじゃない。深く考える必要ない」
耀くんはこういうとき真剣に相談にのってくれます。
「耀くんっ、ありがとうございます!」
「…別に。普通のこと言ったまでだし」
耀は勢いに少し弱かった。紅天のがっつくお礼の言葉に一歩身を引いた。
「まあ…どっちが悪いとかないし自然の流れな任せるのもありだとは思うけどね」
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