学祭前のトラブル 四
「まったくあんた横着しすぎ」
「…!耀さん」
「そんな分厚い本、よく読めるね」
「えへへ、読もうと思ったのですがロッカーに入れてたこと忘れてて期間が来てしまったのです」
はぁ?!と言い耀は「貸して」とひょっと軽々しく本を持ち上げた。
「耀さんっ…、一人で持っていけますっ!」
「危なっかしくてみてられない」
(そりゃあ一人でここまで持ってこれたのはすごいけど)
三分の一くらいの道のりをこの本で前が見えない中、歩いていた紅天に少し関心した。
「ねえあんた。文化祭でもしもお菓子作れるってなったら作る気ある?」
「はい!お菓子作りはすごく楽しいですし、全力で御協力させて頂きますっ!」
「…あっそ」
「どうかされましたか??」
「別に」
「そういえば耀さんは甘いのお好きですか?それとも甘いの苦手でしたか?」
「…まあ、比較的好きだけど」
普段は眠そうで毒舌な耀で顔色をあまり変えないがそんな耀が今照れたのだ。紅天は物珍しそうに耀を見つめた。
前に美紗緒ちゃんが耀さんはツンデレ属性だと言ってました!
「何その顔」
「あっ!いえ、なんでもないですっ」
「…気になるんだけど」
「本当になんでもないんですっ!」
「絶対今俺の顔みてなんか思った」
「そんなこと…ないですっ」
嘘をつけない性格の紅天に耀はおかしくて思わず笑った。
「ふっ、あんたって嘘つけないんだね」
「そ、そんなことないです…!」
「はいはーい。嘘つけないっていいことだよ」
(俺は…嘘偽りだらけの人間だから)
辛そうで哀しそうな笑顔で耀はそう言った。
そんな彼の心情声を読んでしまった紅天はなんて声をかけていいのか分からなくなった。
「か、耀さん…」
「別に今更さん付けしなくていいよ。あんたいっつも堅苦しいんだよ」
「耀…くん?」
「ん、そう。それくらいがあんたらしさ出てていいんじゃない」
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